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Monday, April 6, 2020

40代男性「なぜ自転車競技はハンドルの形にこだわるのですか?」 | Cyclist - Cyclist(サイクリスト)

 
なぜ自転車競技は、ハンドルの形にこだわるのでしょうか。

 最近のドロップハンドルの自転車は、ほぼSTIレバーが付いているので、下ハンドルの付いたブルホーンのような形になっていますが、ロードレースではブルホーンは禁止です。

 シクロクロスではほぼ下ハンドルを使わないらしいのですが、上位カテゴリーではハンドルはドロップハンドルと決められています。クロスカントリーではフラットバーで競争していますし、下位カテゴリーではMTBでの混走可能なのに上位カテゴリーだけハンドルの形状を制限する意味がわかりません。

 下ハンドルでの使用を前提にブレーキが設計されているドロップハンドルは、下ハンドルを使わないのであればブレーキが使いにくく危険なだけで何もメリットが無いと思うのですが、なぜドロップハンドルにこだわるのでしょうか。集団で一緒に走るので車幅の規定はあって然るべきと思いますが、その規定の中で使いやすいハンドルを自由に選べてもいいと思います。

 一番売れているスポーツ自転車はフラットバーのクロスバイクなので、クロスバイク(フラットバーロード)やブルホーンバーでも走れるようにするほうがレースを身近に感じることができるのではないかと思いますが、どうお考えでしょうか。

(40代男性)

 ロードバイクの基本的な形はもう100年近く変わっていませんね。ドロップハンドルだけではなく、全体の基本的な形が変わっていないということです。これ、落ち着いて考えるとけっこう不思議な話だと思います。

 そもそもなぜ形が変わらないかというと、直接の理由はUCI(国際自転車競技連合)による規制があるからです。一時期は24インチの小径ホイールがロードレースに投入されたり、特殊なポジションでアワーレコードに挑戦する選手がいたりしましたが、どれもUCIによって禁止されました。禁止した理由は安全性と、競技者間の公平性を保つためですね。あまりにパフォーマンスに差が出る機材はまずい、ということです。

ドロップバーの内側に取り付ける補助レバー「スピナッチ」が一時流行したが、ルールで禁止となった(1995年ツール・ド・フランス) Photo: Yuzuru SUNADA

 ハンドルについて、ドロップハンドル以外が禁じられているのも同じ理由によるものでしょう。まああちこちを握れるドロップハンドルが合理的な形であることは間違いないと思うんですが、シチュエーションによってはもっと効率的な形もあるかもしれません。

 ちなみにロードレースのハンドルまわりについては、「スピナッチ」というアタッチメントタイプのものが一時期とても流行りました。また、アメリカ人のグレッグ・レモンが持ち込んだ「ドロップインバー」というハンドルも話題を呼びましたが、いずれも現在は使用禁止となっています。

 しかし、この問題を追及していくと、そもそも「スポーツとは何か」という問いに行き着いてしまいます。無制限にパフォーマンスを追及できるようにしたり、種目としての特徴を削ってしまうと、スポーツそのものの概念が崩壊します。

 たとえば野球というスポーツではバットという名の細い棒を使ってボールを打ち返していますが、バットの代わりにラケットで打ち返したり、もっと太いバットを使えば誰でも打席に立ちやすくなるでしょう。しかし、それがスポーツとして面白いものになるでしょうか。

ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)は、上側が極端に狭いドロップバーを使用している。空気抵抗を抑えるトレンドだ Photo: Yuzuru SUNADA

 同じように、自転車競技も特定のルールの下で争うからスポーツとして成り立っているんだと思います。その事実は、ルールそのものが合理的かどうかとはまた別の問題です。要するに、スポーツとは「これこれのルールの下で競争しなさいよ」というゲームであるわけですね。例えば水泳競技をみた場合、平泳ぎは決して合理的な泳ぎ方ではありません。しかし、平泳ぎという種目は「平泳ぎで競いなさい」というルールなわけです。ですから、ロードレースという種目も同様に「ドロップハンドルを使用して競いなさい」というルールを前提とした競技なわけです。

 とはいえ、ルールには幅がありますから、その中でパフォーマンスを追求するのがアスリートです。ハンドルの形は少しずつ変わってきましたし、最近は物凄く幅の狭いハンドルが一部で流行りはじめていますよね。これは主に空気抵抗の軽減を狙ったものです。今後、規制が入る可能性はありますが、個人的には興味深く見守っています。

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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