高度な科学力を誇る異星人によって地球が侵略されていく…。1898年にH・G・ウェルズが発表した「宇宙戦争」など、長きにわたって“侵略もの”は定番として親しまれてきたSFのサブジャンル。それは映画も同様で、近年も『パシフィック・リム』(13)や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(16)ほか多くの作品で人類と侵略者の激しいバトルが描かれている。
【写真を見る】巨大な宇宙船にロボットの残骸…『囚われた国家』に登場する驚異のビジュアル
『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』(11)で類人猿に追いやられる恐怖を描いたルパート・ワイアットの最新作『囚われた国家』(公開中)もその一つ。ただし、こちらは先に挙げたスペクタクルとはひと味違う極めてシリアスな作品だ。
物語の背景は、戦争に破れた人類が地球の統治権を宇宙からの侵略者に譲渡した後の世界。人々は一見、元の暮らしを取り戻したようにも見えるが、体内に発信器を埋め込まれ職場から寝室まですべての行動が警察特捜班に監視されている。そんなディストピアで描かれるのは、自由を取り戻すため“統治者”にテロを仕掛けるレジスタンスと、彼らを取り締まる特捜班の攻防戦。つまり侵略者とのバトルではなく、人間同士の殺し合いなのだ。
妻エリカ・ビーニーと共同で脚本も書いたワイアットは、劇中にヒーローを置かず、危機的状況に追い込まれていく人々をそれぞれの視点で追い続ける。その展開はまるでドキュメンタリーを観ているよう。悲壮感漂うレジスタンスの面々だけでなく、人類存続のため統治者に従わざるを得ない、取り締まる側の苦悩に満ちた表情も胸を打つ。
そんな本作はロケーションもリアリズムに徹している。統治者によりいびつな姿になったダウンタウン、廃墟と化したシカゴ・カルチャーの中心地ウィッカーパーク、巨大な戦闘ロボの残骸が立ち尽くすミシガン湖畔、巨大宇宙船が飛来するソルジャー・フィールド…舞台であるシカゴのランドマークを使ったロケ中心の撮影が生々しさを醸しだす。
派手な描写こそないが、ビルに突っ込んだまま放置された宇宙船や、ムクドリのように大群で飛行するドローンなどの描写を含め、さりげなく挿入された情景で非現実的な空気を生み出すセンスはお見事。権威主義や監視社会、ポピュリズムの恐怖など社会批判を含め、大型化傾向にある昨今の作品群とはまた違うSF映画の魅力が味わえるワザありの一本だ。(Movie Walker・文/神武団四郎)
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