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Sunday, April 26, 2020

「ペン型はひとつの究極形」THETAの父が狙う360度カメラの再発明とは - Engadget日本版

ベクノス
2020年3月、リコーの360度カメラ「RICOH THETA」の開発チームが独立し、ベクノス(Vecnos)という新しい会社でペン型360度カメラを開発していることが発表されました

ベクノスはリコーの社内スタートアップとして、2019年8月に設立。リコー本体とは独立して事業を展開し、同社CEOには初代THETAのプロジェクトリーダーを務めた生方秀直氏が就任しています。

ベクノスが開発しているペン型360度カメラは、2020年発売予定、側面に3つ、天面に1つの計4つのレンズからなる独自の光学系を搭載、独自アプリも提供予定といったおおまかな情報以外はベールに包まれています。

Engadgetでは、このペン型360度カメラとベクノスの戦略について、生方秀直社長にインタビューしました。なお、インタビューは昨今の新型コロナウイルス感染症の流行に配慮し、オンラインで行っています。実機の写真はベクノス提供です。

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▲ベクノスが開発中のペン型360度カメラ

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生方秀直(うぶかた ひでなお)氏 プロフィール:

1989年株式会社リコー入社。商品企画、経営企画などを経て、同社の企業内起業プロジェクトを多数担当。ワンショットで360度の静止画や動画を撮影できる世界初の民生用全天球カメラ「RICOH THETA」のプロジェクトリーダーを務め、2013年に商品化。今後も成長市場と見込まれている同市場の基盤を作り上げた。2019年12月リコーを退社し、現職。(ベクノスCEO就任は会社設立の2019年8月から)

ペン型の360度カメラはひとつの究極形

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──本題に入る前に長年の疑問をぶつけても良いでしょうか。

生方氏:なんでしょうか。

──全方位を撮影できるカメラのことを、「全天球カメラ」や「360度カメラ」と言いますよね。これは言葉の使い分けとかあるんでしょうか?

生方氏:全天球カメラというのは、我々が生み出した言葉です。なぜ360度という言葉を使わなかったのかというと、初代THETAを発売した頃は、360度というとカメラのパノラマ機能で周囲をぐるっと撮った「360度パノラマ」を想像する人が多かった、という背景があります。我々が360度という言葉を使うと、周囲だけ撮れるカメラだと誤解を招いてしまう恐れがあるので、全天球カメラという言葉をつくりました。

ただ、欧米では全天球カメラという言葉は複雑すぎて浸透しなかったので、360度カメラと言っています。

ベクノスでは、日本語で発信する場合は全天球カメラ表記で統一しています。ただ、メディアさんが360度カメラと表記されるのは問題ありません。

──疑問が晴れました。ありがとうございます。それでは本題に入らせていただきます。ペン型というこれまでになかった形に行き着いた理由を教えてください。

生方氏:無理なく持ち歩いてもらえて楽しい映像体験ができる形を考えた結果、ペン型に行き着きました。我々がTHETAをつくったときも、可搬性に優れて、持ち運びするときに邪魔にならない形を考えてデザインしたのですが、今回のペン型はある種、その究極形と言えます。

小さすぎたり細すぎたりすると持ちづらくなるので、コンパクトさと握りやすさのバランスがとれた程よいペン型にこだわりました。

──ペン型の360度カメラをつくりたい、というのはTHETAを開発されていた頃から思っていたことなのでしょうか?

生方氏:そうですね。初号機のTHETAから開発に関わっていたチームの中で「こういうものをいつか作りたい」という思いがありました。

──レンズの構成がコンシューマー向けの360度カメラに多い2眼ではなく珍しいなと思いました。2眼ではなく4眼にしたのは何か理由があるのでしょうか?

Engadget▲筆者私物のRICOH THETA m15を撮影したもの。レンズがぽっこりしています

生方氏:デザインを重視した結果です。ペン型を目指すと決めたタイミングで、2眼も検討しました。ですが、魚眼レンズを2つ搭載する形だと、どうしてもレンズ部分がぽっこりしたデザインになってしまうんですね。我々としては、可能な限りフラットなフォルムで、できるだけ良い全天球写真を撮れるような光学系を実現したいという思いがあり、ゼロから発明しています。

──ゼロからの発明だったんですね。

生方氏:はい。THETAを開発したときも光学系に関しては特許を出していますが、今回の端末も光学系に関してベクノスで特許を出しています。4眼というのも、すぐに決まったわけではなく、数十通りの光学系を考えて、レビューをして、何回もやり直しをして、最後の最後に4眼のアイデアに辿り着いています。

──4眼以外に、こだわられているところなどを教えてください。

生方氏:ハードウェアとしてのつくり込みの品質感というか、細部のこだわりですね。端末が発売されたら、すぐに分解をされて、こういう構造になっているというレビューなどがあがると思いますが、360度カメラをつくっている方や、専門家の方が見ると驚かれると思います。

そもそもこの端末は、スマートフォンと接続するタイプではなくデバイスひとつで完結する360度カメラとしては、極めて小さいと思います。小さい筐体の中に電池やエレキ回路を全て封じ込めるのは大変なことでした。

特別なパーツを選定していたり、色々な工夫のうえでパーツを入れ込んでいるので、簡単には真似できないんじゃないかと思っています。

360度カメラは600万台の市場。ノンギークをさらに取り込む

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──世界的に見て360度カメラは好調なのでしょうか?

生方氏:矢野経済研究所さんは、グローバルで600万台くらいの市場規模と予測しています。これに関しては、我々も大体そうだろうという見解です。重要なのは、成長を続けている市場であること。当然、コロナショックによる影響はあると思うのですが、ハードウェアの市場の中では、360度カメラは非常に伸び率が高い市場であると我々は思っています。だからこそ、ベクノスとしてのファーストプロダクトは360度カメラから入っていくことを決めたという部分もあります。

──狙いたいターゲット層などは決まっていますか?

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生方氏:ギーク、ノンギークでいうとノンギークな人たちです。映像体験が広がっていく象徴として、20〜30代の女性を掲げています。それゆえに、今までのカメラではないような、シャンパンゴールド的なカラーリングになっていたり、ジュエリーやアクセサリー的な雰囲気も漂わせているというか、そういうアクセントも入れていたりします。

これは男性が使えないということではなくて、そういう方でも手に取っていただけるようなカメラとしての美しさを追求しているという話です。

──お値段的には、20代、30代の女性でも手が出そうな値段帯で考えられているということですよね?

生方氏:そうですね。ただ、安っぽいイメージで打ち出すわけではなく、どちらかというと、おしゃれ、スタイリッシュという味付けの商品かと思いますので、そこらへんのバランスを取った値付けになると思います。

──販売チャネルはリコーの商流を使うのでしょうか?

生方氏:販売チャネルや販売戦略はまだ決定していないのですが、よりターゲットとするお客さまに届きやすいような形で売っていくということになろうかと思います。リコーの商流を使わないということではなく、最適なものは何かを会社をゼロから立ち上げた時のような幹事でもう一度考えていくということです。

決まっているのは、世界の主要国でまず売り出すこと。スタートアップはマザーマーケットから展開していくところが多いですが、我々世界展開をしてきた実績があるので世界の主要国でまずは売り出して、そこから広げていきたいと思っています。

スペックの気になるあれこれを聞いてみた

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──バッテリー持ちはどのくらいでしょうか?

生方氏:撮影枚数などの仕様は固まっていませんが、狙いとしてはライトユーザーが一日に遊んだなかで撮って1日遊んで「たくさん写真が撮れて良かった」くらいのものを狙いたいという設計をしています。ですから、動画とかをばしばし撮ると減りは速くなってしまうんですけども。静止画ベースで1日くらい持てばいいな、という感じです。

──Wi-Fi、Bluetooth、どちらも対応でしょうか?

生方氏:現状、検討している仕様ではそうだといえるかと思います。

──起動時間の速さは?

生方氏:電源をオンにしてすぐ撮れるようにするには、ハードウェアデザインとファームウェアデザインの両方が重要なのですが、どちらのつくり込みにもかなりこだわっています。

──そこは期待して大丈夫と?

生方氏:そうですね。

──充電はType-Cですか?

生方氏:今のところはアダプターの端子はType-Cで考えています。ただ、本体にアダプターを差し込んで充電する形式です。底部に充電の端子があります。USB端子がそのまま付いていると色っぽくないのでアダプター経由で充電をする仕様にしました。

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──発売のタイミングではアプリも提供されると思いますが、アプリ側はどういった工夫をされているのでしょうか?

生方氏:ベクノスとしてのファーストプロダクトをつくるにあたって、ハードウェアをゼロから革新的なものをつくりたかったという点と、アプリといいますか、UXといいますか、トータルのユーザー体験をどうやって革新していくかを議論しました。

絶賛開発中で抽象的な言い方で申し訳ないのですが、ノンギークな方々に向けて、360度で撮ったその先の遊び方、楽しみ方に関して、今までにないものを提案できるように開発を進めているところです。

──ありがとうございました。

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April 26, 2020 at 05:02PM
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