日本相撲協会は７日、初場所（１０日初日、東京・両国国技館）に向け、力士、親方ら全協会員に新型コロナウイルスのＰＣＲ検査を実施すると発表した。部屋に陽性者が出るなどして直近で検査済みの協会員は除き、約９００人という大規模なものとなる。取組編成会議は検査結果が出てから開くため、８日から９日に変更される方向で、異例の初日前日に実施となった。芝田山広報部長（元横綱・大乃国）はこの日、初場所を有観客で開催する意向をあらためて明かした。
緊急事態宣言下での初場所開催に向け、相撲協会が大規模な検査に着手した。芝田山部長は代表取材に応じ「執行部の定例会議で、協会員全員がＰＣＲ検査を受けることを決めた。お客さまの安心安全のために検査する」と明らかにした。
集団感染が判明した荒汐部屋や横綱・白鵬（３５）が新型コロナに感染したため、直近に関係者が検査済みの宮城野部屋、同様の湊部屋は除き「行司、床山、呼び出し、若者頭、親方、力士、全員」と同部長。約９００人の大規模検査となる。協会は昨年、全力士への抗体検査や発熱者への抗原検査、また合同稽古の際にはＰＣＲ検査を義務づけるなどの対策を取ってきた。今回の全協会員を対象にしたＰＣＲ検査は初めてで、初場所開催への強い意志の表れともいえる。芝田山部長も「開催する方向でいく」と改めて強調した。
７日から各部屋に検査キットを配布し、８日に回収する。これにより８日に予定されていた取組編成会議は、検査結果が出てからの実施となり、芝田山部長は「多分あさってまで、ずれ込むのではないかと」と９日に変更となる見通しを示した。初日、２日目の取組を決める取組編成会議は初日の前々日が通例で、日程変更は異例だ。
ＰＣＲ検査で複数の陽性者発生や濃厚接触者が多く出る可能性もあり、そうなれば初場所への影響も懸念される。芝田山部長は「そのときは感染症の先生の話を聞いて判断しないといけない。憶測の話はできない。一つ一つ段階を踏んでやっていくしかない」と話すにとどめた。
緊急事態宣言中は人数の上限は５０００人かつ収容率５０％以下となる。協会は感染拡大を受け、６日でチケット販売を終了していた。「５０００人を守ってやっている」と芝田山部長。さまざまな対応や判断に追われる中、新春の土俵は目前に迫っている。
◆角界とコロナ経過
▽２０２０年３月８日 春場所を史上初の無観客開催
▽４月９日 高田川部屋で初の感染者
▽同２５日 同部屋で高田川親方、白鷹山ら６人が感染
▽５月４日 緊急事態宣言延長。夏場所中止が決定
▽同１３日 同部屋の三段目・勝武士さんが死去
▽９月１０日 玉ノ井部屋の十両・富士東らの感染を発表
▽同１５日 同部屋で新たに５人。感染者は所属力土２８人中、計２４人に
▽１２月１２日 立浪部屋の幕内・天空海（あくあ）ら７人の感染発表。計１０人に
▽同３１日 荒汐部屋の幕内・若隆景の感染を発表
▽２１年１月１日 同部屋の荒汐親方、十両・若元春ら１１人の感染を発表。同部屋の感染者は計１２人に
▽同５日 横綱・白鵬の感染を発表
▽同７日 全協会員対象のＰＣＲ検査実施を決定
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