政府は31日、東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を受け、風評の抑制や安全確保に必要な取り組みについて、県と県内各種団体からの意見聴取を始めた。県漁連などの水産関係団体の代表は海洋放出に改めて反対と強い懸念を表明、ほかの参加者は国内外への正確な情報発信と県内全域の幅広い業種を対象とした風評対策の具体化を急ぐよう求めた。
政府が関係者の意見を丁寧にくみ上げ、理解促進と実効性のある施策に結び付けられるかどうかが焦点となる。その過程で関係閣僚会議(実行会議)が設けた作業部会が31日、福島、いわき両市で初会合を開き、県と6団体の代表、各省庁の幹部が参加した。
県漁連の野崎哲会長は会合で「海洋放出に反対の立ち位置だ」と重ねて明言。福島の海で漁業を続ける決意を示した上で、新たな風評の発生を念頭に「(政府と東電が計画する放出)開始まで2年あり、まだ始まっていないと繰り返し発信してほしい」と注文した。
「風評被害は現在進行形だ。決して2年後、放出が始まったら風評が発生するような状況ではない」。野崎会長の発言を補うように県水産加工業連合会の小野利仁代表は、政府の認識の甘さをこう指摘した。必要な具体策として、処理水関連の問い合わせに応じる窓口を設け、関心が低い一般の人にも情報が伝わる発信手段の確立を訴えた。
政府が説明した風評対策では、安全性などについて科学的根拠に基づく情報発信を強化。県や市町村の風評払拭(ふっしょく)に向けた取り組みを後押しするほか、福島相双復興官民合同チームが浜通りの水産関係団体を支援する。東電は理解促進や風評の抑制に取り組み、風評被害が発生した場合は期間や地域、業種を限定せずに賠償する方針を示している。
しかし、参加者からは風評の再拡大への警戒が相次いだ。県水産市場連合会の石本朗会長は「県産の水産物や農産物、加工品を県民が理解して買ってくれるかが一番心配だ。県民が拒否したら他県が理解してくれるかとの懸念を抱いている」と消費者心理に与える影響を不安視した。
作業部会は県内のほか、隣接する宮城、茨城両県などの各種団体からも意見を聞き取り、夏ごろに追加対策の中間報告を出す。実行会議は年内に中長期的な行動計画をまとめる方針だ。
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