東京オリンピックに出場した東欧ベラルーシの女子陸上選手が1日、代表チームの運営について不満を公言した後、コーチ陣に東京の羽田空港に連れられたものの、「ベラルーシには帰らない」と主張している。搭乗予約のあったトルコ・イスタンブール行きの便には乗らず、空港警察署にいるという情報がある。
クリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手は、2日の女子200メートル走に出場する予定だった。
しかし、ツィマノウスカヤ選手はロイター通信に対して、代表チームのコーチたちが1日に自分の部屋にやってきて、荷造りをするよう指示し、空港に連れてきたのだと話した。
「私はベラルーシには帰らない」と、同選手はロイター通信に話した。
ツィマノウスカヤ選手はまた、国際オリンピック委員会(IOC)の介入を要求。ベラルーシ・スポーツ連帯基金(BSSF)がメッセージアプリ「テレグラム」に持つチャンネルに投稿した動画で、「彼らは私の同意なく私を日本から連れ出そうとしている。この件についてIOCに関与してもらいたい」と訴えた。
BSSFは、ルカシェンコ政権に抗議するなど政治的意見などのため刑務所に収監されたり、不利な扱いを受けたりしているスポーツ選手を支援する団体。
ツィマノウスカヤ選手の要求に対しIOCは、同選手について報道を見たと短い声明を発表。ベラルーシ・オリンピック委員会に確認を取っていることを明らかにした。
これに先立ち選手は、「ベラルーシのための欧州ラジオ(ERB)」に、帰国するのが怖いと話していた。
オーストリアに亡命希望か
選手は1日夜現在、羽田空港にいる。現場には日本の警官たちもいる。
ベラルーシの反体制派メディア「ネフタ」のタデウシュ・ギチャン記者はツイッターで、ツィマノウスカヤ選手がオーストリアに亡命したいと話していると書いた。東京のオーストリア大使館に連絡をとりたいと希望しているという。
ギチャン記者はさらに、ツィマノウスカヤ選手はトルコ航空便に搭乗せず、予約していたとされる便はすでに出発したと書いた。選手は羽田空港内の空港警察署におり、日本の外務省員が向かっているようだと書いた。
記者はこれに先立ち、「ベラルーシ代表チームの管理体制を彼女が7月30日に批判すると、独裁政権側のメディアは『お前は国の恥だ』という中傷キャンペーンを開始した。今となってはベラルーシに帰国するのが怖いと(ツィマノウスカヤ選手は)話しているが、チーム関係者が無理やり彼女を東京の空港へ連れて行った」とツイートしていた。
記者は、「大事なのは、ツィマノウスカヤ選手が独裁政権の批判を特にしていないという点だ。単に、ベラルーシチーム関係者が書類手続きを誤って、何の訓練もしていない競技に彼女を登録してしまったと不満を口にしただけだ。それなのに独裁体制の国営メディアは彼女を国家の敵に仕立てあげた」と書いている。
「いかにずさんか」
ツィマノウスカヤ選手は7月末、インスタグラムに動画を投稿。一部の選手に出場資格がないことが分かり、5日に予定される400メートルリレーに出場するよう急きょ指示されたのだと話していた。
この動画が掲載された後、ベラルーシの国営メディアはツィマノウスカヤ選手を批判。国営テレビONTは、選手に「チーム精神」が欠けていると非難した。
ツィマノウスカヤ選手はロイター通信に、「チームのコーチたちがいかにずさんかインスタグラムで話した」せいで、チームから外されたのだと話した。
一方、ベラルーシ・オリンピック委員会は、ツィマノウスカヤ選手をチームから外したのは「感情や精神の状態」が理由だと発表。200メートル走と400メートルリレーの出場は取り消すと説明していた。
ベラルーシでは1994年から続くアレクサンドル・ルカシェンコ政権が、反体制派を厳しく取り締まっている。
昨年8月の大統領選で4選を決めたルカシェンコ大統領について、全国で数十万人が不正選挙だと反発し抗議行動に出た。その中には多くのアスリートも含まれた。その後、代表選手になれるだけの技量をもつ優秀な選手たちが、訓練費用を絶たれ、代表チームから外され、拘束される事態になった。
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