Pages

Tuesday, November 16, 2021

「ミスター講道館」お別れの会 愛着ある古式の形で在りし日偲ぶ - 朝日新聞デジタル

ikanghus.blogspot.com

竹園隆浩

 誤嚥(ごえん)性肺炎で先月95歳で亡くなった柔道の醍醐敏郎さん(段位10段)のお別れの会が20日午後、東京都文京区講道館で開かれる。柔道の総本山での会には上村春樹講道館長、山下泰裕全日本柔道連盟会長のほか、関係者が多数集まって「ミスター講道館」をしのぶ予定だ。

 大道場で行われる会での注目は、故人が人一倍の愛着をもって普及、継承に力を注いできた「古式の形」の演武だろう。

 嘉納治五郎師範が創始した講道館柔道には、自由に組み合って技を掛け合う「乱取り」と、あらかじめ、技を決める方と受ける方に分かれて手順や理合いを学ぶ「形」がある。現在は主に7種類の形が指導されているが、その中で醍醐氏が22歳の頃から始めたのが古式の形だ。

 きっかけは1948年から講道館の研修員となり、やはり10段まで昇段した永岡秀一氏から指導を受けたこと。礼法に続いて技をかける方が一歩踏み出して自然体に構えるが、「足ではなく、体で出る。気力を充実させたその一歩を見れば、習得の程度が分かると教えられた」という。

 その後、自らは試合では全日本選手権を2度制覇。指導者としては76年モントリオールと84年ロサンゼルスの両五輪で代表監督も務めた。競技面での活躍を続けながらも形への情熱は衰えず、約30年前からは愛好者を募って、古式の形の指導を続けてきた。

 学生時代は国士舘大で、卒業後は警察大学校でも醍醐氏から指導を受けた千葉翠・岩手県柔道連盟会長(80)は、形では醍醐氏の相手役も務めてきた。

 「古式の形は、元々は武士が甲冑(かっちゅう)で馬から下りて組み打ちをしたものから作った柔道の原型。だから、先生は『柔道着で行う今の時代は、理合いも昔とは違う』と、分かりやすい言葉で極意を説明してくれた。いつもにこやかで口調は優しいが、何度もやり直しをさせられたことが思い出される。我々はその教えを、次の時代に引き継いでいかないといけない」

 当日は、参列者を代表して、お別れの言葉を述べる予定にしている。(竹園隆浩)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 「ミスター講道館」お別れの会 愛着ある古式の形で在りし日偲ぶ - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/3DxOPpG

No comments:

Post a Comment