JR北海道は6日、新型除雪車両キヤ291形ラッセル気動車の報道公開を実施した。老朽化した除雪車両DE15形ラッセル機関車の置換え車両として製作され、今冬期に石北本線への導入を予定している。報道公開ではキヤ291形(キヤ291-1)とDE15形(DE15 1509)が並び、キヤ291形の除雪装置が開閉する様子も披露された。
既存の除雪車両であるDE15形は、2021年度も計12両(旭川運転所に8両、岩見沢運転所に1両、苗穂運転所に3両)を配備し、函館本線・宗谷本線・石北本線といった雪の多い線区で除雪作業を行う。DE15形については、国鉄時代の1972~1980年に製造され、製造から41~49年が経過し、経年劣化が進んでいる。老朽化による各部の腐食だけでなく、使用部品の生産中止等もあり、継続使用が困難になってきているという。
そこで、DE15形の置換え車両としてキヤ291形を製作。今冬期は石北本線に導入し、除雪状況等の確認を実施することとなった。キヤ291形は現時点で1両のみ製作され、総工事費は約5.7億円とのこと。製作会社は新潟トランシス。JR東日本のENR-1000形をベースに製作された。
DE15形は機関車の両先頭に前頭車を連結し、除雪作業を行っていたが、キヤ291形は環境配慮型のディーゼルエンジンを搭載した気動車となり、車両の両先頭に固定式の除雪装置(主翼、補助翼、フランジャなど)を設置した。DE15形は冬期以外に前頭車を外し、他の車両を牽引する機関車として使用されることもあったが、キヤ291形は除雪の用途でのみ使用する車両となる。除雪装置の構成および除雪能力はDE15形と同等とされ、走行中に進行方向の除雪装置を広げ、車両幅の線路部分の雪を跳ね飛ばしながら除雪を行う。
キヤ291形の愛称名は「Vermilion Russel」(朱色のラッセル車)。DE15形と同様、雪の中でも視認性の高い朱色の車体となっており、車体側面の中央部に愛称名のロゴがデザインされている。その他、GPSによる除雪車両操作支援装置も搭載。除雪装置の状態を撮影するカメラを設置したことにより、運転室内から確認できるようになった。除雪装置・エンジン等の動作状況を画面に表示するモニタ装置も搭載し、除雪作業やメンテナンス作業を補助するという。キヤ291形の車体長は約22m、最高速度は70km/hとのこと。
キヤ291形の石北本線への導入時期は検討中だが、早くても来年1月以降とのこと。今冬期の確認走行を通じ、「除雪装置の各機器が想定通り動くか確認したい」「北海道の雪は粉雪のため、機器の隙間や車両の中に舞い込みやすい。冬期の走行で雪の舞い込みについても確認したい」と担当者は話す。除雪車両を機関車(DE15形)から気動車(キヤ291形)へ置き換えることに関して、「機関車と違って牽引の用途を考慮しないで開発したものとなるため、前頭車の取外し等がなくなり、燃費の面でもメリットがあります」「気動車のほうが機関車よりメンテナンス周期が長くなるため、その点でもメリットがあります」との説明もあった。
キヤ291形はいまのところ1両のみで、DE15形の置換え計画については今後検討するという。「今冬期の走行を通じてデータを集め、今後の更新に向けて検討を進めていきたい」「いま使っている除雪車両(DE15形)は老朽化が進み、故障等も発生するようになっているため、新しい車両へ計画的に置き換え、安定輸送の確保に努めたい」と話していた。
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