さわやかな木の香りに包まれ、「シュッ、シュッ」と
米田さんの父、利次さん(65)、祖父、武司さん(84)はいずれも「神具・神棚」を作る県伝統工芸士。神棚を作る合間に、主に米田さんが「
神酒口は「
木製だけではなく、竹製や金属製もあるというが、米田さんが作っているのは、吉野ヒノキ製だ。厚さ7ミリ前後の溝を刻んだ板を鉋で薄く削り、手で組み上げていく。真ん中は台の上で型にはめて丸みを作り、根元を糸で結んで形を整える。最後に下部に和紙を巻くとできあがりだ。
1個作るのに20~30分かかるといい、米田さんは「細かい作業で手間がかかる。欲しいという人がいるから作っていますが、割に合いませんね」と笑う。
幼い頃から神具作りが身近にあり、「楽しそうだなと思っていた」。大学卒業後、すぐに家業を継いだことにも「もともと物作りが好きだったので、まったく抵抗がなかった」という。「自分の家がやっているからではなく、神具作りに魅力を感じる」からだ。
鉋一つとっても、刃を研ぎ、台を調節しないと使えず、道具があっても使いこなせなければ、物は作れない。「何から何まで全部できないとあかんのです。そうやって複雑で美しい形が自分の手で作り出せる。追究すればするだけ難しくなるが、それが楽しい」と笑顔をみせる。
それだけに、様々な伝統工芸の後継者不足が不思議でならない。「こんなに楽しいのに……。物作りに興味を持っている人はたくさんいるはず。40歳代でも若いと言われる世界だが、若さを生かして物作りの魅力を伝えていければ」と力を込めた。(関口和哉)
〈メモ〉 神酒口は4寸(長さ12センチ)が380円、5寸(15センチ)が480円、6寸(18センチ)が760円。いずれも税込み。これより大きいものも作れるが、要相談。米田神具店(0747・52・2738)で販売している。営業時間は午前9時~午後7時、日曜・祝日定休。
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