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Wednesday, April 6, 2022

大今良時『聲の形』 美登鯉橋 - 読売新聞オンライン

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 豊富な湧き水が市街を流れる水都・岐阜県大垣市の美しい街並みを全国に印象づけた。2016年、京都アニメーションによって映画化され、色彩豊かな情景が映像となった。原作は同市出身の漫画家・大今良時の「聲の形」(講談社刊)。いじめの加害者と被害者、それぞれが胸の内に抱える苦悩に迫ったストーリーが話題となった。

 市内には、舞台となった公園や歩道橋など、様々な聖地が点在する。中でもファンに人気なのが、市街を流れる水門川にかかる長さ数メートルの美登鯉橋だ。主人公・石田将也や西宮硝子は度々、ここを訪れ、時にコイに餌をやりながら、手話を交えて思いを伝え合い、お互いを理解しようとした。心動かされる名場面となっている。

 一見ありふれた小橋だが、実際に橋の上から辺りを見回してみると、作中の世界に足を踏み入れたような感動を覚える。川には作中と同じく、多数のコイが泳いでおり、石田や西宮のように食パンをあげる人々も見られる。

 また近くの「奥の細道むすびの地記念館」には映画公開時から、西宮が筆談に使ったものに見立てたノートが置かれており、来館者が自由に記帳できる。全国から集ったファンが「作品を通して大垣を知り、大好きになりました」「すてきな作品と場所に出会えて感謝です」などと思い思いの言葉をつづり、現在、11冊を超えている。京アニ放火事件の発生時には、ファンから募った寄付金約330万円とともに、ノートの一部を同社に送ったという。

 大垣観光協会の三浦武史さん(50)は「映画が公開されて6年たった今でも、訪れるファンが絶えない。舞台となった大垣の街を実際に歩くことで、作品の魅力をより深く理解できるのでは」と話している。(乙部修平)

■メモ

 JR大垣駅からバス7分、徒歩16分。東海環状自動車道大垣西インターチェンジから車で10分。

 2013年8月~14年11月、週刊少年マガジンで連載。親分肌の主人公・石田将也は、小学校に転校してきた耳の聞こえない少女・西宮硝子を次第にいじめるようになる。しかしそのことが大事になると、今度は、石田が同級生からいじめられるようになり、西宮は転校してしまう。時は流れ、高校生になった石田は、人に心を閉ざして生きていたが、西宮と再会することで、再び他者と関わりを持ち始める。一方、西宮も自分のせいで周りが不幸になったのだ、と罪悪感を抱いており、石田と交流を深めるようになる。

 聴覚障害者へのいじめを正面から描いたことで、掲載時から大きな反響を呼び、15年には全日本ろうあ連盟監修で学習用教材ドラマ化。16年に京都アニメーション製作のアニメ映画が公開された。

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