個性豊かな浜松市内のかき氷店が集う「第一回浜松かき氷祭」が五月二十一、二十二の両日、はままつフルーツパーク時之栖(ときのすみか)(北区)入園ゲート前で開かれる。実行委員会は昨年秋、新型コロナウイルスの影響でプレイベントの中止を強いられ、資金難に直面。本番の開催に黄信号がともったが、クラウドファンディング(CF)を成立させ、実現に大きく踏み出した。
◆全国屈指の製氷会社
「浜松には全国屈指の製氷会社がある。果物も豊富で、かき氷店にとって素晴らしい環境なんです」。実行委代表の山本哲広さん(46)=北区=は力を込めた。
山本さんの妻由貴子さん(46)が四年前に開業したたこ焼き・かき氷店「TAKOYAKI kinoko」(同区)は、製氷事業を手掛ける「浜松委托倉庫」(中区)の氷を使っている。七十二〜九十六時間かけてじっくり凍らせてあるのが特徴。由貴子さんは「雑味がなくて口溶けがよく、シロップの味を引き立ててくれる」と話す。
市内では「舞阪製氷」(西区)などの氷も高品質で有名で、氷の硬さと溶けにくさ、透明度などで国内トップクラスの評価を受けているという。
由貴子さんの影響で、浜松とかき氷との相性の良さを知った山本さん。昨年春にイベント開催に向けて動き始めた。インターネットで「浜松 かき氷」と検索し、表示された店に電話をかけ、輪を広げていった。
昨年九月にはプレイベントの「第〇・五回浜松かき氷祭」を予定していたが、直前に緊急事態宣言が発令。会場が使えず、中止を強いられた。「大赤字になってしまい、参加予定だったかき氷店に迷惑を掛けてしまった」と声を落とす。
ただ、プレイベントをきっかけに縁を結んだかき氷店からは、諦めずに本番を開催したいという声が上がった。山本さんは起死回生をかけて今年二月、CFで支援を呼び掛けた。交流サイト(SNS)で地元グルメを紹介しているユーザーらにもPRを頼み、目標額を上回る七十三万二千円が集まった。
西区舞阪町でコーヒー豆の販売会社を経営する杉山世子さん(43)は、SNSでCFを知り、第一号の支援者となった。「近くの舞阪製氷さんがかき氷の氷で有名だとは知らなかった。面白いなあと思い、支援しました」と振り返る。「実行委の皆さんは新型コロナで大変な思いをされてきたので、今回こそ無事に開催できることを祈っています」
◆ガイドブックを作製
「浜松かき氷祭」には十店が参加。ゲート前のため入園料は不要で、駐車場も無料。イベント後も食べ歩きを楽しんでもらうため、市内のかき氷店を紹介するガイドブックを作製し、会場で配布する。新型コロナが拡大した場合は会場に集まらず、それぞれの店で特製のかき氷を販売する形式に切り替える。
山本さんは「このご時世なのに、集客イベントに多くの人が賛同してくれたのが本当にうれしい。かき氷で浜松を盛り上げられるよう、まず第一回を成功させたい」と意気込んでいる。 (小佐野慧太)
*連載は今回で終了します。
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