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Friday, May 6, 2022

記憶に残る伝承の形に 宮城・南三陸さんさん商店街の写真展示館改装 - 河北新報オンライン

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 宮城県南三陸町の南三陸さんさん商店街で東日本大震災前後の町の様子を伝える写真展示館「南三陸の記憶」が、大型スクリーンを設置しグッズ売り場を広げてリニューアルした。運営する佐良スタジオの代表で写真家の佐藤信一さん(56)は「伝承は変わらぬ使命だが、11年たってより入りやすく、記憶に残るよう見せ方を考えた」と狙いを語る。

リニューアルした展示館で中学生に写真を説明する佐藤さん(奥)

スクリーン導入し、グッズ売り場も拡大

 改装では、佐藤さんが撮影した写真の展示スペースを4分の3ほどの面積にし、150点以上あった写真を約半分に厳選。奥に縦1・6メートル、横2・1メートルほどのスクリーンとプロジェクターを新たに設置した。入館料は300円から100円に引き下げた。

 一方、航空写真家黒沢英介さん(51)=仙台市青葉区=との縁で設けていた航空自衛隊松島基地(東松島市)の「ブルーインパルス」のグッズ売り場を2倍に拡張。見やすいようにすっきりと配置し、新型コロナウイルス対策も講じた。

 佐藤さんは2012年2月にできた仮設商店街の時代から、震災前後の町の風景、町職員ら43人が犠牲となった防災対策庁舎の被災の一部始終を捉えた写真などを展示。自らも被災したカメラマンとして撮影時の思いを語ってきた。

 17年3月の本設商店街完成直後は連日100人以上が訪れ、500人近く来場したこともあった。近年は時間の経過にコロナ禍が重なり来客が減っていた。

 「今は観光で商店街に来る人がほとんど。いつまでも震災を前面に出せない」と佐藤さん。近くには10月、町の震災伝承施設が完成する予定で、差別化も図ろうと改装に踏み切った。

 再オープンした4月28日は仙台市愛宕中2年の生徒が校外学習で訪問した。佐藤さんはスクリーンで防災庁舎の写真を続けて見せ、津波の威力を説明。「想像を超える災害から自分や家族の命をどう守るか考えてみて」と語りかけた。

 三浦比佐人(ひさと)さん(13)は「防災庁舎でアンテナにつかまり、必死に生きようとする姿が印象に残った」、鈴木菜々さん(13)は「1分後、2分後、3分後…と写真で見て津波のすごさが伝わった」と感想を語った。

 佐藤さんは来場者の反応を聞きながら写真や語りの内容を見直す考え。「町の伝承施設と協力し、今後も多くの人に震災の記憶をとどめてもらえるようにしたい」と力を込める。

 午前10時~午後5時。火曜定休。中高生50円、小学生以下無料。1時間程度の語り部コースは10人まで5000円、1人追加につき500円。連絡先は展示館0226(28)9291。

ブルーインパルスグッズの販売コーナー

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