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Friday, June 17, 2022

この形はなに? 大阪の “アーチ型水門” もう少し頑張ります - nhk.or.jp

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大阪湾に流れ込む川の河口には、変わったかたちの水門が3か所あります。

全国でも珍しい “アーチ型水門”。3基とも50年以上稼働を続けています。

4年前の台風のときにも大阪市内へ浸水被害が広がるのを防ぐのに大きく貢献しました。

しかし、南海トラフの巨大地震に備えて、今年から新しい水門に建て替える工事が始まります。

ただ、3基すべてが新しくなるのは約20年後。

“アーチ型水門”は、まだまだ現役で、浸水被害から大阪の街を守る役目を負い続けます。

アーチ部分を川に倒して水を防ぐ

“アーチ型水門”は、その名前のとおり大きな橋のようなかたちの水門で、アーチになっている部分を川の上流側におよそ30分をかけて倒します。

そうすることで、高さおよそ12メートルの水門によって水路がふさがれ、河口から押し寄せる高潮から市内を守ってくれるのです。

大阪湾の周辺に3基 いずれも50年以上稼働

大阪市内には、こうした“アーチ型水門”が3基(安治川水門、尻無川水門、木津川水門)あります。

「水門」と言えば、垂直に降りる形を思い浮かべる人も多いと思いますが、

なぜ大阪湾の周辺には“アーチ型”の水門があるのか。

大阪はかつて“天下の台所”と呼ばれたように商業が盛んで、全国からさまざまなものが船で、川を通って街の中心に運び込まれていました。

そうした船の往来を妨げないようにするためにアーチ型になったのです。

今も水門の下を通って工場の作業船や観光船が航行しています。

水害から大阪の街を守ってきた

この“アーチ型水門”が、その威力を発揮したのは2018年9月。

台風21号が列島を襲い、大阪でも関西空港が冠水するなど大きな被害が出ました。

これは、台風21号が接近した際の、木津川水門の様子です。

大阪湾(画面右側)からの高潮を水門が防いでいます。

これらの水門が、押し寄せる高潮への砦(とりで)として、大阪市内へ浸水被害が広がるのを防ぐのに大きく貢献しました。

50歳を超えた“アーチ型水門” 建て替えが必要に

3つの水門が完成したのは、およそ50年前の1970年(昭和45年)で、老朽化が進んでいます。

また、今後南海トラフの巨大地震が起き、予想される大津波が押し寄せ、“アーチ型水門”がその波を受け止めたとき、アーチ部分にゆがみやひずみが生まれる可能性があります。

その場合、水門を閉じた状態から、再び開門することが難しくなる可能性があるのです。

さらに、水門を稼働する電源が失われた場合、閉門に支障をきたすおそれもあります。

新たに“ゲート型”へ建て替え

そのため、今年からおよそ20年をかけて、水門を垂直に落として水路を閉める“ゲート型”の水門を新たに建てることになりました。

新しい水門は、南海トラフの巨大地震で想定される大津波にも耐えることができるように設計されています。

さらに、万が一電源が失われた場合でも、水門自体の重さで水路をふさぐことができるようになっています。

また、水門の高さを十分に確保することで、引き続き水門の下を船が航行できるようにします。

新しい水門建設後 取り壊される

“アーチ型水門”は、新たな水門が完成するまで、その役割を全うしたあと、順次取り壊していくことが決まっています。

大阪の治水対策に大きく貢献してきた“アーチ型水門”。
まだまだ現役で私たちの命と暮らしを守る役目を負い続けます。

(大阪放送局 カメラマン 栗田健太郎)

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