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Saturday, July 2, 2022

現場が恐れた“危険な電気機関車”EF13形 資材節約しまくった「戦時設計」が長生きしたワケ - 乗りものニュース

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あらゆる工業製品に材料の節約、いわゆる「省力化」が求められた太平洋戦争下の日本。新型電気機関車もその例外ではありませんでした。しかし、機関士に危険視されたほど粗悪な作りの省力型電気機関車EF13形は、意外にも戦後に長く生き延びることになるのです。

輸送力は増強、でも資材は節約 はざまで生まれた異形の車両たち

 先の戦争で、鉄道は物資輸送に大きな役割を果たした一方、物資の節約は車両にも徹底され、当時としても“常識外れ”の車両が生み出されました。そのひとつに、現場の乗務員に危険視されるほどだったという異形の電気機関車、EF13形が挙げられます。

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戦時生産型の電気機関車EF13形(画像:鉄道博物館)。

 1942(昭和17)年10月6日に国会で閣議決定された「戦時陸運ノ非常体制確立ニ関スル件」は、戦時における鉄道の方針を決定づけました。その目的は、内海航路の船舶輸送に携わる船を、国外に向けた軍隊輸送や資源輸送に割り振るとともに、国内では「陸運転嫁」と称して鉄道輸送を強化することでした。このため、鉄道は「五大産業(鉄鋼・アルミニウム・船舶・航空機)」に準じた主要産業とされました。

 それと同時に、鉄道車両に対して戦時規格の実施を徹底することになりました。つまり、安全率の低減、耐久寿命の短縮、規格の変更、使用期限および検査機関の延長、工程・艤装の簡易化などが求められたのです。

 これより新造車両には戦時にふさわしい簡易化が求められました。そして製造されたのがいわゆる「戦時生産型」と呼ばれる一連の車両で、D52蒸気機関車、63系電車、トキ900形の無蓋貨車などがこれにあたります。本稿の主題であるEF13形電気機関車もこうした戦時生産型の電気機関車でした。

 当時の国鉄(国有鉄道)の電気機関車に関する事情はというと、それまでの客車牽引用の電気機関車の実績をうけて、1939(昭和9)年に国産初の貨物列車牽引用電気機関車EF10形が就役しています。同車は41両が生産されましたが、25号機以降は1942(昭和17)年に開通した関門トンネル電化区間への投入を前提に小改造を施して製造されています。

 次に生産されたのは、このEF10形のパワーアップ版ともいえるEF12形で、生産数は17両。関門トンネルへ回されたEF10形の穴埋めとして配車する計画であったとされます。東海道線では、D51形蒸気機関車でも無理な1150~1200トンの貨物を牽引するなどのほか、清水トンネルのある上越線の水上~石内間でも使用されました。

 しかしEF12形全機の生産終了は、資材難によって計画よりも遅い1944(昭和19)年にずれ込みました。資材はそれほど逼迫していたのです。そうした状況下で製造されたのが、EF13形電気機関車でした。

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