頭はつぶつぶで長方形の布をまとった木造の仏像に、様々に変化した姿を描いた絵画の仏、密教儀式の道具にかたどられた4体の怒った顔の仏、よろいを着た仏像などが会場に並ぶ。それぞれ「如来」「菩薩(ぼさつ)」「明王」「天」が表されているけど、見分けられますか?
奈良国立博物館(奈良市)で8月28日まで、特別陳列「はっけん! ほとけさまのかたち」が開かれている。国宝1件、重要文化財16件を含む仏像と絵画を中心とした31件を、「如来」「菩薩」「明王」「天」のグループ別に並べて解説。小学校中学年でも楽しめるよう、易しい言葉とイラストで説明し、「かたち」から仏に迫る。
能満院(奈良県桜井市)の掛け軸「十一面観音菩薩像」(14世紀、重要文化財)は十一面観音菩薩の周りに、僧侶や竜、如来、毘沙門天など33種類の変化した姿が並ぶ。展覧会を担当する研究員の翁みほりさん(博物館教育)のおすすめの一品だ。「人びとが『こんな姿で来てほしいな』というのに合わせて、『この姿で救いに行こうか』と来てくださるんです」
掛け軸の周囲には、菩薩の役割や十一面観音菩薩の顔についての説明パネルがある。文章もイラストも担当した翁さんは「紹介したいことがたくさんあって絞り込むのが大変でした」。
千手観音菩薩の手の形や持ち物を描いたパネルにもつい見入ってしまう。
特別陳列で最初に迎えてくれる元興寺(奈良市)の薬師如来像(9世紀、国宝)の近くには、「頭のてっぺんがぼこっと盛り上がって」「つぶつぶ」「布を身にまとうだけ」といった如来の特徴をまとめたパネルがある。
個性的で魅力的な作品が多い平安時代初期彫刻の一つ。台座を含めてカヤの一材から彫り出されている。「丸太カヤの一材から彫り出した迫力に満ちた造形。彫りが深く、やわらかい着衣のひだの表現も魅力です」と主任研究員の山口隆介さん(日本彫刻史)。
衣のへりに表された渦文、大波と小波を繰り返す衣のひだの表現は平安初期の仏像の特徴。背から見ると、像内がくりぬかれた様子もうかがえ、制作方法もわかるという。展示されている彫刻や絵画そのものも見応え十分だ。
翁さんは「『仏様にいろんな形があって、役割によって違うんだ』と発見があればうれしい。他の博物館、美術館、お寺でも『あそこで見た仏様だ』と身近に感じてもらえたらうれしいです」と話す。
8月15日をのぞく月曜日休館。一般700円、大学生350円、高校生以下無料。問い合わせは奈良国立博物館ハローダイヤル(050・5542・8600)へ。(米田千佐子)
からの記事と詳細 ( ほとけさまに形から迫る展覧会、イラストでわかりやすく、奈良博 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/pCQNv8h
No comments:
Post a Comment