電化されていない路線を走るディーゼル気動車「キハ58系」で最後の現役車両である「キハ28形―2346」が27日、いすみ鉄道で定期運行を終えた。千葉県内の駅や沿線には住民や鉄道ファンが集まり、別れを惜しんだ。来年1月頃までイベントや特別列車で運行された後、2月に完全引退する予定だ。(河津真行)
キハ58系は旧国鉄時代の1961年から急行用列車として製造され、全国の非電化区間で活躍した。今回、定期運行を終了したキハ28は長年、旧国鉄やJR西日本で使用された後、2012年にいすみ鉄道に譲渡され、約9年8か月にわたり土日祝日の急行などとして親しまれた。最後の現役車両として人気を集めたが、1964年の初走行から58年が経過し、老朽化したことから運行を終えることとなった。
27日は大多喜駅(大多喜町)や国吉駅(いすみ市)でお別れイベントが開かれ、多くの人が駆けつけて最後の走りを見守った。横浜市のパートタイム従業員の男性(46)は「昭和の急行列車を象徴するような車両が引退するのはさびしい」と残念そうに話した。
いすみ鉄道は現在、展示保存や3Dデータ化のための費用をクラウドファンディングで募っている。目標金額は280万円で、来年1月15日まで。
「もう少しの間、走らせてあげたかった」。ラストランを終え、車庫にキハ28を入れた後、定期運行最後の運転士を務めた高崎浩さん(62)は名残惜しそうにつぶやいた。
幼い頃から鉄道好きだったという高崎さんだが、大学卒業後は長年、学習塾やバス会社などに勤めた。バス会社員だった2010年2月、富山県を訪れた際に「昔から好きだったから」と、当時、JR高山線で運行していたキハ58系に乗った。クリームと朱2色の「国鉄急行色」が目当てだったが、入線してきたのはあずき色で帯がクリーム色の「高岡色」の車両。「内心がっかりでした」と笑う。その列車こそキハ28だった。
2年後、いすみ鉄道に入社していた高崎さんは、JR西日本から譲渡されたキハ28と再会する。運命を感じて運転を希望したが、入社して日が浅い高崎さんには、旧型のため運転が難しいキハ28は任せてもらえなかった。運転したい一心で訓練に励み、念願がかなったのは14年4月。何百人もいた歴代の運転士の一員になれたとうれしさがこみ上げた。
キハ28の運行は苦労の連続だった。エンジンの力はほかの車両の半分程度。加速しにくい上にスピードも出なかった。経年劣化も激しく、客席や運転席が雨漏りすることもあった。それでも、旧国鉄製造車両らしい頑丈さと収容乗客数の多さがあり、「頼りになる列車だった」と振り返る。
約9年務めた運転士としても、一鉄道ファンとしても、寂しさはある。だからこそ、キハ28には優しく声をかけた。「長い間お疲れさま。無事に走ってくれてありがとう」
からの記事と詳細 ( ディーゼル気動車「キハ28形」、最後の車両引退へ…「昭和の急行列車を象徴」 - 読売新聞オンライン )
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