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Monday, November 21, 2022

iOPラボ「トーク&絵描き体験ワークショップ『イメージを形にする仕事』」を開催|茨城大学 - 茨城大学

ikanghus.blogspot.com

 1028日に、iOPラボ「トーク&絵描き体験ワークショップ『イメージを形にする仕事』」を開催しました。参加した「茨大広報学生プロジェクト」のメンバーによるレポートです。

 10月28日、インフォメーションラウンジ(水戸キャンパス図書館1階)にて、トークイベント&絵描き体験ワークショップ「イメージを形にする仕事」がおこなわれました。本イベントは「茨大広報学生プロジェクト」のメンバーが企画したもので、当日は本学の学生10人が参加しました。ゲストには、イラストレーターのnatunatuna(猿田なつ奈)さんをお招きしました。

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<ゲスト>natunatuna(猿田なつ奈)さん

茨城県常陸太田市(旧水府村)出身、つくば市在住の絵描き。学生時代は体育を専門に学び、修士課程を修了したものの、どうしても諦めきれず2004年から絵描きの道へ。主な活動は、CDジャケット、フライヤー、MV、グッズ等の制作、ライブペインティングなど。


 natunatuna
さんが絵描きとなったきっかけは大学院時代にありました。修士論文を書き進める中で「この論文は自分が本心からやりたいことではない」と気づき、かきためていた絵と詩をとあるコンペに応募します。結果は見事に優勝!しかし、優勝者の特典である本の出版は立ち消えになってしまいます。そうした経緯もあり、「絵描きだったら名乗った次の日から絵描きだ!」と思い、絵描きへの転身を決心したといいます。
 
 natunatuna
さんは1年間、特別支援学校の常勤講師として働きながら自費出版の資金を蓄え、「今では考えられないくらいの費用」がかかってしまったものの無事に出版を果たします。その後も学生時代の人脈を活かしながら依頼された仕事をコツコツとこなし、2014年からは絵描きの仕事1本で生計を立てられるようになったそうです。

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 誰かに頼まれて絵を描くときのコツは、「相手とイメージを共有すること」だとnatunatunaさんはいいます。ですが、それは必ずしも題材に忠実なものを描くことではありません。この春、依頼を受けてブックカバーの絵を描いた際には、「自分が描きたい」イメージに基づいて制作を進めました。クライアントの要望とすりあわせつつ、その絵だけがもつ独自の世界を表現していきました。

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 イメージの共有には、依頼主とのコミュニケーションが欠かせません。相手から伝えられたイメージについて質問したり、絵を描いたりして具体化する。そうした試行錯誤を繰り返した先に、相手が求める絵は完成します。このとき、あまり考え込まずにテンポよく相手のイメージに反応する瞬発力も大切だそうです。

 さて、イベントではそんなイメージの共有を体験しました。目標は、与えられたA4サイズの紙に全員が同じような丸(〇)を描くことです。そのためにまずはnatunatunaさんが思い描く丸のイメージを、参加者全員で質問しながら具体化していきます。大きさや数、形など、次々と質問が飛びました。その中には「筆圧は強めですか?」というものも。条件が定まっていき、実際に全員で丸を描いてみると次の写真のようになりました。

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 描き始めるまでに出た質問は9つ。ご覧のとおり、それでも多少の違いが生まれています。この違いをなくし、絵を仕上げるためにコミュニケーションは大切な役割を果たします。作品を完成させていく上では、描き手としてだけでなく聞き手として相手からイメージを引きだすことも大事な要素となります。参加者にとっては、イメージの言語化が描写にもたらす影響は少なくない、と体感できた瞬間だったのではないでしょうか。
 
 natunatuna
さんによると、絵として表現していく時には、もう1つ大事な要素があります。「引き出しを増やすこと」です。それは、面白いアイディアを引きだすための準備で、今までとは違った考え方・見方をしたり、自分の引き出しを増やすために他の人の作品をみたりします。イベント内でも、参加者全員が同じイメージから絵を描き、それぞれの作品を鑑賞しました。
 natunatunaさんから提示されたイメージは「風が強く吹き、桜の花びらが舞う春。橋の上にいる1人の女の子が物思いに耽り、遠くには山が見える」というものです。先ほど丸を描いた時と同様に、質問を重ねてイメージを具体化していきます。そして実際に描かれた作品がこちらです。

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 今回は自分なりの表現でよかった分、作品にも作者の個性が表れました。どれもイメージを捉えてはいますが、パーツの配置にそれぞれ特徴が出ています。11枚比べてご覧いただくと、そうした違いもお楽しみいただけます。

 このほか、natunatunaさんが実際にCDジャケットのイラストを担当した曲を題材に、イラストを描きました。歌詞やメロディーを参考に、CDジャケットのイラストに見立てて思い思いの作品が出来上がりました。

DSC_5039 natunatunaさんが描いた実際のCDジャケットのイラスト(ラフ)

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 一見すると、同じ曲から連想したとは思えないくらいバリエーションが豊富です。それだけ1つの曲には多くのイメージが詰まっていることがわかります。たくさんのイメージから、いくつかを選び出して表現するのもまたイラスト制作の魅力といえそうです。

DSC_5050 学生からの質問にも丁寧に答えてくださったnatunatunaさん

 今回のイベントでは、natunatunaさんが持つノウハウを惜しげもなく伝えていただきました。絵を描く技術だけでなく、そこにつながるコミュニケーションや引き出しを増やす方法についても触れられていたのが印象的でした。参加者にとっても、プロから直接意見を伺えた収穫のあるイベントとなりました。

(取材・構成:茨大広報学生プロジェクト 永島彰人(人社2年))

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