こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。今回ご紹介するのは、鶏むね肉も付け合わせも、そしてたれまで一度にいわゆるレンチンで作れてしまう簡単蒸し鶏です。
電子レンジで作る蒸し鶏というと、普通はたれを別に作って後から添えることが多いかと思います。今回は、あらかじめ鶏むね肉に調味料をもみ込んで味付けし、ついでに付け合わせ野菜も一緒に調理していきます。これだと耐熱皿一つで全て作れて味もよくなじむので、とにかく最高なんです。
そんな進化形レンジ蒸し鶏を、ねぎ塩だれとピリ辛味噌だれの2種類の味付けでご紹介。
手頃な値段の鶏むね肉を、しっとりやわらかくジューシーに仕上げるコツももちろんお伝えしていきます。ちょっとアレンジするだけでパスタやうどんとも合わせることができるので、重宝しますよ!
ねぎ塩だれのレンジ蒸し鶏
旬の長ねぎを、丸ごと1本たっぷりと使ったレンジ蒸し鶏。くったりシャキシャキな長ねぎの食感が最高です!
材料(作りやすい分量)
- 鶏むね肉……1枚(300g)
- 長ねぎ……1本(90g)
【調味料】
- 酒……小さじ2
- 鶏ガラスープの素(顆粒)……小さじ1と1/2
- ごま油……小さじ1
- 砂糖……小さじ1/2
- 塩……ひとつまみ
作り方 下準備編
1. まずは、鶏むね肉に穴を開けていきます。
調味料が染みやすいように、全体をフォークなどでまんべんなく刺して、穴を開けておきましょう。こうすることで鶏むね肉の繊維が断たれ、加熱しても硬くなりにくくなる効果もあります。
2. 続いて、調味料を全て加えてもみ込み、鶏むね肉によくなじませます。
手が汚れるのが嫌な場合は、上の写真のようにビニール袋に入れてもみ込むのがオススメです。
3. あとはしばらく室温に置いて味をなじませます。時間は、だいたい30分。ちょっと長いようにも思えますが、実はこの間に冷蔵庫から出したての鶏むね肉の冷たさが取れて、後で電子レンジにかけたときに加熱不足や加熱ムラが起きにくくなります。味もしっかりとなじむので、一石二鳥です!
4. その間に付け合わせ野菜を準備しておきます。長ねぎはたっぷり1本分、斜め薄切りにします。緑の部分もあれば入れておくと、出来上がりの色合いがきれいですよ。
作り方 電子レンジ編
1. 30分経ったら、いよいよ鶏むね肉を電子レンジで加熱していきます。皮が付いている面を上にして、少し深さのある電子レンジ使用可の皿(容器に関する注意点が下の方にありますので、読んでみてくださいね)に入れてラップをし、まずは600Wで2分加熱します。
2. 2分加熱したら一度取り出してラップを外し、鶏むね肉の上下をひっくり返します。ちょっと面倒なようですが、フォークで刺してくるっと返すと意外と簡単にできますよ。
ちなみにこのとき、鶏むね肉の表面の色をよく確認しましょう。万が一、「生っぽい部分(白色ではなく生肉のピンク色)」があったら、加熱ムラの可能性があるので、念のためもう一度皮付きの面を上にして白っぽくなるまで追加加熱してください。
3. 白くなっていることが確認できたら、最後にひっくり返した鶏むね肉の上に長ねぎをのせて、再びラップをして電子レンジ600Wで2分加熱します。
4. できました! 計4分、電子レンジで加熱して取り出したところです。
あとはラップをかけたまま、あら熱が取れるまでしばらく置けば出来上がり。あまり長く電子レンジにかけるとパサついてしまう鶏むね肉ですが、こうすると余熱でしっとり感をキープしたまま火が通るだけでなく、肉汁も落ち着くため、カットしたときにもジューシーさがしっかり保たれるようになります。
また、長ねぎにもちょうどよい具合に火が通り、絶妙な食感に仕上がりますよ。
鶏むね肉はしっとり、長ねぎはいい感じにしんなり。蒸し汁は、そのままたれになります。
鶏むね肉は食べやすい厚さに切って、上からたれをかけ、長ねぎをたっぷりとのせていただきましょう。
それではいただいてみます。
鶏むね肉のうま味と長ねぎの甘みが混ざり合ったたれがよく絡み、鶏むね肉はしっとりやわらかくジューシー、長ねぎはしんなりしつつもシャキシャキ感が残っていて最高のおいしさです……!
最初の加熱時に皮を上にしているため、鶏皮の脂が程よく落ちて、脂っこさやしつこさなどはまったく感じられません。しかもその脂をたっぷりの長ねぎが受け止めて、極上の塩だれに進化させてくれています。長ねぎの食感と香りが食欲をそそり、いくらでも食べられそうな飽きのこない味わいです。
ピリ辛味噌だれのレンジ蒸し鶏
続いては、こちらも食欲そそるコチュジャンベースのピリ辛味噌だれ。作業の手順は、「ねぎ塩だれのレンジ蒸し鶏」とほぼ同じです。コリコリした甘みのある根菜がとてもよく合います。
材料(作りやすい分量)
- 鶏むね肉……1枚(300g)
- れんこん……100g
- にんじん……30g
- 彩り用のスプラウト(お好みで)……少々
【調味料】
- 味噌……大さじ1
- 醤油……大さじ1
- 酒……大さじ1
- コチュジャン……大さじ1/2
- 砂糖……小さじ2
- ごま油……小さじ2
作り方
1. まずは鶏むね肉全体をフォークで刺して穴を開け、調味料をもみ込み、30分室温に置きます。
2. その間に、付け合わせ野菜を準備しておきます。根菜なので、火が通りやすいようなるべく薄めに切るのがポイントです。
にんじんもれんこんも皮をむき、さらにれんこんは水にさらしておくと加熱後の変色(黒ずみ)を防ぐことができるので、仕上がりがきれいです(特に見た目が気にならない場合は皮付きのままで構いません)。
3. 30分経ったら、少し深さのある電子レンジ使用可の皿(容器に関する注意点が下の方にありますので、読んでみてくださいね)に皮を上にして鶏むね肉を入れ、ラップをして電子レンジ600Wで2分加熱します。
4. 先ほどと同様、2分経ったら一度取り出して鶏むね肉をひっくり返します(このときに、全体がしっかりと白っぽくなっているか確認してくださいね)。根菜をのせて再びラップをかけ、さらに600Wで2分加熱します。
5. できました! あとはこのままぴっちりラップをして、あら熱が取れるまで置き、鶏むね肉を食べやすく切って、上からたれとして蒸し汁をたっぷりとかけます。
こちらも完成。おいしそう! お好みで彩り用のスプラウト類をのせます。
鶏むね肉は見るからにしっとりとジューシー、根菜は適度に歯応えがありそうです。
いただいてみましょう。
ジューシーな鶏むね肉は、しっかり味がついていてとてもおいしいです!
コリコリした根菜も食べ応えがあり、ちょっぴり甘めのピリ辛味噌だれがよく絡んでいて、思わず箸が伸びますね。味噌とコチュジャン、2種類の味噌テイストの合わせ技で複雑なうま味が生まれています。
食べ応え満点でアレンジ自在! 進化形レンジ蒸し鶏
さて、このままでもご飯によく合うレンジ蒸し鶏ですが、実はちょっと手を加えるだけでいろいろとアレンジも可能です。
ポイントは、鶏むね肉と付け合わせ野菜のうま味がたっぷりと溶け込んだたれ(蒸し汁)を、うまく使うこと。おかずの幅もグンと広がるので、いくつかご紹介しますね。
極上蒸し鶏のねぎ塩スープ
たれと長ねぎ、細切りにした鶏むね肉(ねぎ塩だれのものを使います)をカップなどに入れて、鶏ガラスープの素少々を加えたらお湯を注いでお好みの濃さに。
粗挽きのブラックペッパーをかけます。うま味たっぷり、極上鶏スープの完成です!
ねぎ塩レモンの蒸し鶏パスタ
鍋でパスタをゆでていきます。フライパンにたれと長ねぎ、食べやすく切った鶏むね肉(ねぎ塩だれのものを使います)を入れ、パスタのゆで汁とお好みの分量のオリーブオイルを混ぜておきます(味が足りなければ、鶏ガラスープの素少々で調節します)。
そこにゆであげたパスタと薄いいちょう切りにしたレモンを絡め、粗挽きのブラックペッパーをかけます。ジューシーな鶏むね肉と、くったりシャキシャキな長ねぎの甘み。ブラックペッパーとレモン使いでさらに味が締まり、お酒も進みそうなメリハリのある一皿になりますよ!
ピリ辛味噌だれ蒸し鶏のっけうどん
電子レンジで解凍した冷凍うどんを器に入れ、たれと根菜、食べやすく切った蒸し鶏(ピリ辛味噌だれのものを使います)、彩りのスプラウトをのせる。たったこれだけ、とてもシンプルですが、たれに個性があるので十分においしいです。コシのあるもちもちうどんに根菜のコリコリ感、食べ応えのある蒸し鶏が絶妙によく合います。
ピリ辛味噌だれ蒸し鶏のサンドイッチ
コチュジャンベースのたれの蒸し鶏と付け合わせ野菜は、実はパンにもよく合います。生野菜を加えて、たれを少しかければ、あっという間においしいサンドイッチの出来上がり。お好みでマヨネーズを少量かけても。普通の食パンを軽く焼いたものでも良いですが、香ばしい雑穀パンなどもオススメですよ!
調理の際の注意点
ジューシーな鶏むね肉と付け合わせ野菜を、電子レンジ調理のみで作って味わえる進化形レンジ蒸し鶏。一度作っておくと、作り置きおかずとしてもいろいろ使えるのでとても便利です。
ただ調理の際の注意点が二つありますので、最後にそちらを確認しておきましょう。
まず一つ目は、鶏むね肉を電子レンジで加熱する時間について。
600Wで「裏表2分ずつ」というのは、あくまで「1枚300gほどの鶏むね肉」の場合の目安です。鶏むね肉はものによってグラム数の違いがかなりありますので、異なる場合は、鶏むね肉をひっくり返す際に必ず火の通り具合を色でよく確認して、必要に応じて追加加熱をするようにしてください。
そして二つ目は、調理の際に、電子レンジ使用可の少し深めの皿として、「陶器や磁器製」もしくは「耐熱ガラス製」の食器や保存容器を使うようにしましょう。
ご紹介した2種類の蒸し鶏は、いずれもしっとりジューシーに仕上げるため、適度な油分と水分をあらかじめ鶏むね肉にもみ込んでいます。特にピリ辛味噌だれの方は砂糖と味噌(コチュジャン含む)が入るため、粘度が高くなり、同じ電子レンジ使用可の皿でも、ポリプロピレン(PP樹脂)などの「プラスチック製」のものだと破損したり溶けたりする可能性があります。
調理の際には、その点をぜひご確認くださいね。
この二つの点さえ守れば、簡単に作れるレンジ蒸し鶏。鶏むね肉と付け合わせ野菜を一度にたっぷりといただけて、アレンジも可能ですので、忙しいときの作り置きおかずとしてもぜひオススメです!
書いた人:庭乃桃
料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。
からの記事と詳細 ( 鶏むね肉の進化形「レンジ蒸し鶏」が、肉も野菜もたれまで一度に作れて最高 - メシ通 )
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