奈良市丸山1丁目の国内最大の円墳、富雄丸山古墳(直径109メートル、4世紀後半)で、これまでに出土類例のない形状や文様をもった青銅製の盾形銅鏡と、鉄剣としては国内最大となる蛇行(だこう)剣が各1点見つかり、奈良市教育委員会と県立橿原考古学研究所(橿考研)が25日、発表した。いずれも墳丘に付いた方壇状の施設「造り出し」で見つかった埋葬施設から出土。橿考研は「製作技術水準の高さを示す、古墳時代の金属工芸の最高傑作というべき貴重な資料」と評価している。
同市教委が昨年10月5日から、古墳範囲確認などを目的に約370平方メートルを調査。墳丘の北東に位置する3段築成の造り出し上段から埋葬施設の粘土槨が見つかり、内部に木棺を確認した。盾形銅鏡は鏡面を外側に向けて棺蓋に立てかけられるような状態、蛇行剣は盾形銅鏡の上部に木棺と平行するように置かれ、ともに12月に出土した。
盾形銅鏡は長さ64センチ、最大幅31センチで、土がついた状態での重さが約5・7キロ。盾形の背面中央にあるひもを通す穴の「紐(ちゅう)」の上下には、乳と呼ばれる突起を取り囲むような獣文をはじめ、古墳時代の倭鏡(国産の鏡)を代表する「だ龍鏡」の図像文様が配置。渦状文や鋸歯文(きょしもん)が、だ龍文の中央に描かれたり、獣像の旋回方向が上下で逆転するなど独自のデザインも見られる。
紐の左右には太陽のような形の文様もあるなど類例を見ない形状と文様構成で、橿考研は盾と鏡を合体させた古墳時代人の柔軟な発想力や高度なデザイン力、青銅器製作技術を指摘している。
一方、蛇行剣は長さ2メートル16センチ、幅6センチの刃部が蛇行する形状で、柄(つか)に収める部分の「茎(なかご)」を含めた全長は2メートル37センチ。これまで国内最大とされていた中小田第2号古墳(広島市、5世紀後半)出土の長剣(1メートル15センチ)の倍の長さで、4世紀後半の古墳からの出土は蛇行剣として最古例になる。橿考研は「破格の長大さであり、高度な鉄器製作技術が駆使されている」としている。
調査を担当した奈良市教委埋蔵文化財調査センターの村瀬陸主務(32)は「粘土槨の確認は出現期の造り出しの性格を考えるうえで重要な成果。そこで出土した遺物はいずれも古墳時代前期における国内手工業生産技術の最高傑作」と話している。
発掘調査現場の一般公開は28日午後0時30分からと29日午前10時から。両日ともに午後3時まで。盾形銅鏡と蛇行剣の展示は行わない。駐車場はなく、公共交通機関を利用する。問い合わせは、奈良市教委埋蔵文化財調査センター、電話0742(33)1821。
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