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Saturday, January 7, 2023

「命を形に残したい」 阪神大震災を経験し、彫刻家になると決めた ... - 朝日新聞デジタル

ikanghus.blogspot.com

 阪神・淡路大震災を15歳で経験した彫刻家・はしもとみおさんの作品展が、兵庫県尼崎市西長洲町2丁目の「A―LAB(エーラボ)」で開かれている。「個々の命の塊を形にして残したい」と語るはしもとさん。実物大の犬や猫、ウサギ、熊などの木彫り、デッサンなど約400点が並ぶ。29日まで。

 「あの朝」までは、獣医師になるのが夢だった。同市武庫町で家族4人で暮らし、通学時は近隣の家々の飼い犬たちに声をかけ、放課後には時々、動物愛護センターまで自転車で走った。

 1995年1月17日。激しい揺れで自宅は壁や屋根が崩れ、父が割れたガラスで額を切ったが、家族全員命は無事だった。

 夜が白み始め、変わり果てた街が目の前に広がった。がれきの山、サイレンの音、人の叫び。なぜか、近所で飼われていた犬や猫が、1匹もいなくなっていた。幾日もひたすら、絵を描いた。「頭の中にある動物たちや風景を思いだし、紙に描くと心が落ち着きました」

 やがて、思った。個々の命は戻ってこない。でも、もう一度触りたい。せめて生きている時の姿を、形にして残したい――。彫刻の道に進もうと決心した。

 東京造形大で彫刻を学び、愛知県立芸術大の大学院を経て、現在は三重県いなべ市にアトリエを構える。愛犬と暮らし、クスノキを削って作品作りに没頭する日々だ。

 はしもとさんにはもうひとつ、震災時に焼き付いた記憶がある。激震の直後、自宅を飛び出した時、庭のクスノキで1匹のミノムシがゆっくり揺れていた。「生きるって貴いです。虫も、人も、今日を生かされていると思いました」

 「生あるものはみな死ぬけれど、いま、生かされている私は命を形に残し続けたいのです」

 入場無料。一部の作品は触ることも可能。火曜休館。問い合わせは「A―LAB」(06・7163・7108)。(高松浩志)

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