地図大手の「ゼンリン」(福岡県北九州市)が販売を展開している「47都道府県ピンバッジ」が人気を集めている。銅合金でできた小さなピンバッジの中に、市区町村や一部の離島までを刻印した、緻密なデザイン。1個1100円(税込み)で福岡県の直営店2店舗とネットで購入が可能だ。3月10日に販売を開始し一部商品は品切れに。4月21日から予約販売を開始している。郷土愛の表れか、ネットでは群馬県が最も早く完売した。ピンバッジの誕生秘話やデザインのこだわりを担当者に聞いた。
◇ ◇ ◇
47都道府県ピンバッジは、大きさ縦横2センチ前後で、それぞれアンティークゴールドとアンティークシルバーの2色展開。ゼンリンは20年に日本列島を9つの地域で区切った「日本列島ピンバッジ」を販売していた。担当者によると「日本中の方に地図の楽しさを知って欲しい」という思いで制作に至った。日本列島ピンバッジの購入者から「都道府県版も欲しい」との声が相次ぎ、商品化につながったという。
担当者は47都道府県ピンバッジのこだわりについて「身に着けやすいサイズ感で制作した点と、地図屋らしく『市区町村境』を入れている点」と答えた。市区町村を正確に表現するため、数が多い北海道は他の都府県よりも若干大きくした。各都道府県で縮尺が異なるため、47個コンプリートしても日本列島の形にはならないというが、1つ1つの形を精巧に作った。
具体的な生産、販売個数は非公表だが、群馬県が最も早く完売したという。群馬県出身のゼンリンの担当者は「個人的な意見」とした上で「地元で長年愛されている郷土かるた『上毛かるた』の中にも『鶴舞う形の群馬県』という読み札があるように、県の形に関して高い認知度があったり、愛着を持っていたりするのではないかと感じています」と語った。発売以降に地元メディアが取り上げたことも影響したという。
群馬に次ぐ人気は栃木、東京、大阪、北海道(順番は無作為)の4都道府県という。群馬県のお隣、栃木県も地元紙が紹介し「ゆかりがある方に知っていただけるきっかけになった」。居住者が多い東京と大阪も売れ行きが好調。北海道については「天気予報などでも見る機会が多く、おそらく最も『形』の認知率が高い都道府県の1つだと思います。そうした理由もあるのではないか」と推測した。その上で「どの都道府県のピンバッジも、多くの方に購入いただき、改めてみなさんの郷土愛の強さを感じました。職場等での会話のネタにしていただいたり、いろんな楽しみ方をしていただけるとうれしいです」と話した。【沢田直人】
■47個というのがちょうどいい
47都道府県ピンバッジは愛好家の間でも話題になっている。4万個以上のコレクションを持つ東京ピンクラブの寺島喜之代表幹事(53)は「これから集める候補の1つです」と力を込めた。「新型コロナ禍で途絶えていたイベント限定のピンバッジがある。行楽地や山開きでもらえるものなどですね。復活するものとしないもの、新しいものをどう集めていくかの見極めをしている」と続けた。
愛好家の目から見た47都道府県ピンバッジの人気の秘密について聞いた。寺島さんは「出身地とかなじみのあるところ、行ったことのある県だけ集めるとかいろんなアプローチができると思う」と解説。米にも1980年代ごろからある州の形をした「州ピン」と呼ばれるピンが今でも人気があるという。寺島さんは47都道府県ピンバッジについて「私が集めるとしたらコンプリートを目指しますね。47個というのがちょうどいいんじゃないでしょうか。これが100個、200個なら最初から集める気がなくなる」と笑って話した。
■うまいところに目をつけた
経済アナリストの森永卓郎氏 都道府県の形でピンバッジを販売するというのは、うまいところに目をつけたような気がします。地元の人にヒットが飛びました。これまで全国のご当地もので流行していたものは「どこでもドラえもん」のキーホルダーや根付け。その後に「ハローキティ」のバージョンが出ました。地元の人が買うというよりは、観光に行った人がお土産に買ってくるというパターンでしたね。
ピンバッジは海外ですと、昔からお土産品として成立していました。スーツとか帽子につけたりしますが、日本人はなかなか普段から身に着けはしないですよね。日本でもピンバッジコレクターは昔から一定の人口がいますが、ピンバッジが五輪の時以外に注目を集めるのは珍しいと思います。
からの記事と詳細 ( 群馬「鶴舞う形」最速完売“市区町村境”入りのゼンリンこだわり人気商品47都道府県ピンバッジ - ニッカンスポーツ )
https://ift.tt/tjdpWu2
No comments:
Post a Comment