そのニュースは衝撃だった。卓球女子でオリンピック3大会連続メダリストの石川佳純さん(30)の突然の引退。世界ランキング11位でありながら、2024年パリ五輪に向けて様変わりした代表選考レースで苦戦が続いていた。枠組みを作ったのは日本卓球協会の宮崎義仁専務理事(64)。引退発表の翌日、宮崎さんに聞いた。代表選考、このままで大丈夫ですか――?
「(石川さんは)パリ五輪が無理、というわけではない立場でしたから。このまま(選考レースを戦って)いくだろうなと思っていたところでした」
突然の決断に多少驚きながらも、その口調は淡々としていた。真意を測りかね、思わずこう問い詰めた。
「パリ五輪の選考方法のあり方が石川さんの引退につながったとは考えられませんか」
宮崎さんは全ての責任を背負う覚悟なのだろう。ただちにその影響を認めた。
「石川さんは自分から言わないと思うが、引退の決断と今回の選考はひも付いていると理解している」
世界ランク重視か、公平性か
まずは五輪代表の選考方法をおさらいしたい。1988年ソウル五輪で初めて卓球が採用されて以降、世界ランキングを重視した選考がなされてきた。日本男子は50年代に世界選手権5連覇を飾るなど栄華を誇ったが、国家レベルで強化を図る中国が台頭。80年代以降、低迷期に陥り、世界ランクの底上げが急務だった。
日本協会は00年代から本格的にジュニアの育成に着手した。小学生のナショナルチームを創設し、早い段階から国際大会を経験させた。それに伴い、世界ランクは上昇。12年ロンドン五輪の女子団体で日本は初のメダルを手にした。強豪国の仲間入りを果たし、自国開催の21年の東京五輪では混合ダブルスの金を含め、過去最多4個のメダルを獲得した。
長らく五輪選考の指標だった世界ランクだが、東京五輪後は機能しなくなった。新型コロナウイルスの影響で国際大会の開催が不透明になったからだ。その国際大会も、世界ランク上位の選手が優先的に主要大会に出られる方式に変わった。このため、成長段階にある若手ら世界ランク下位の選手にとって巻き返しのチャンスが少なくなった。
宮崎さんは、ため息を漏らす。「現在の国際大会の方式では、主催者が指名した選手しか出られない。これは不公平ですよね」
相次ぐ「批判」
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