パワーウエイトレシオは675ps/t
このクルマは、どのカテゴリーに合致するのだろう。スーパーカーか、グランドツアラー・ロードスターか。とにかく、一般的な公道用モデルとは別次元にある。
バケットシートには、サベルト社製のハーネスが組まれている。希望すれば、シートにはヒーターも追加できるらしい。車重は750kgと軽量だが、全幅は1910mmとワイド。タイヤの接地面積は、フェラーリ430 スクーデリアに近い。
車重1t当たりの馬力、パワーウエイトレシオは675ps/t。ドンカーブートの技術者は、並外れた能力や気質を持つドライバーへ、完璧に応えられると主張する。乗り心地はしなやかで、長距離ツーリングにも好適だとも話す。
それでいてサーキットの走行会では、マクラーレン750 Sなどのスーパーカーを凌駕するラップタイムを繰り出すはず。荷室の容量はポルシェ911 GT3より広い反面、ブレーキにはレース仕様のアンチロック・システムが実装されている。
大きなリアウイングは備わらないが、路面がドライでセミスリックタイヤを履いていれば、加速時には2.15Gの勢いを体験できるとか。暴風雨にも対応するカーボンファイバー製のルーフは取り外しが可能で、小さく畳んで荷室へ収納できる。
シャシーやボディには、最先端の技術や材料が投じられている。しかし、設計の基本形は1957年へ遡る。ルーツは、昔のロンドンにある。
45年前にオランダでのセブンの権利を取得
上記のすべての条件が、1台のモデルへ当てはまるとは考えにくい。緻密な市場分析を経て、モデル開発が進められたわけでもない。それでも、少量生産でプライドの高いスポーツカーメーカーなら、実現できるようだ。
いくつかのカテゴリーを横断しているとしても、ドンカーブートF22は、並外れた仕上がりにあることは想像に難くない。ネザーランド(オランダ)人は仕事が丁寧だし、同社のモデルは高い完成度で知られている。
ジョープ・ドンカーブート氏が権利を取得し、ネザーランドでロータス・セブンの独自仕様を生産し始めたのが45年前。葉巻型ボディにタイヤの付いた、初代となるS7を発売して以来、更なる性能を求めて改良が続けられてきた。
最近は、海抜マイナス3mの場所にある同社のレリスタット工場で、半分狂気とも思えるようなマシンが作られている。AUTOCARでは2020年にドンカーブートD8 GTO-JD70へ試乗しているが、その時も度肝を抜かれた。
そして2023年、最新版となるF22が完成したという。ワークショップを尋ねると、シャシー番号001番の、ダークブルーのクルマが待っていた。天気予報は雨がちだという。パワーウエイトレシオの数字を思い出し、背筋がゾクゾクする。
画像 ロータス・セブンの究極進化形 ドンカーブートF22 ケータハムとロータスMk6も 全126枚
からの記事と詳細 ( ロータス・セブンの究極進化形 ドンカーブートF22へ試乗 リアルでソウルフル 前編 - http://www.autocar.jp/ )
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