三菱重工業は、高砂製作所(兵庫県高砂市)構内に整備を進めてきた高砂水素パーク(注1)内に立地するガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)実証発電設備(通称:第二T地点、定格出力:56.6万kW)で、タービン入口温度1,650℃級の最新鋭JAC形ガスタービンを使い、部分負荷および100%負荷において、都市ガスに水素を30%(注2)混ぜた混合燃料による実証運転にこのほど成功しました。試験に用いられた水素は高砂水素パーク内の設備で製造されたもので、同一敷地内で製造・貯蔵された大量の水素を使用した、地域の電力網に接続された状態での、水素30%混合燃料による大型ガスタービンの発電実証運転は、世界初となります。今後、水素の製造から貯蔵、利用(発電)まで一貫しての実証が可能な高砂水素パークを活用し、来たるカーボンニュートラル社会の実現に向けて、水素焚きガスタービン技術の確立に努めていきます。
なお、本実証は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業を通じた成果も活用して行われたもので、実証に使用した燃焼器は、ドライ式低NOx(Dry Low NOx:DLN)燃焼器です。水素混焼運転においても、都市ガス運転時と同等の低NOx(窒素酸化物)排出量でかつ安定燃焼を確認するとともに、部分負荷および100%負荷運転中に都市ガスから水素混合燃料への燃料切り換えが可能であることを検証したものです。
今後は2024年に、同パーク内の燃焼試験設備で、コンプレッサ(圧縮機)駆動用に設置された中小型のH25形ガスタービン(4万kWクラス)を用いて水素専焼での実証運転を計画しています。また、第二T地点のJAC形ガスタービンでは、水素50%混合燃料での実証運転に向けて水素貯蔵設備増強等の準備を進めていきます。
三菱重工のシニアフェロー、エナジードメインGTCC事業部長の東澤 隆司は次のように述べています。「高砂水素パークは着実な検証による製品信頼性の向上と商用化の加速を通じて、水素発電の社会実装に大きく貢献することが期待されています。今回のJAC形ガスタービンでの水素30%混焼実証は、エナジートランジションに向けた画期的でかつ重要なマイルストーンとの位置付けであり、このような重要な役割を当社が果たすことができたことを誇りに思います」。
三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成を掲げる「MISSION NET ZERO」に基づき、グループの成長エンジンであるエナジートランジションを推進しています。高砂水素パークを活用しながら、水素製造・発電技術の開発および実機検証を加速し、信頼性の高い製品を通じて、世界の電力の安定供給とカーボンニュートラル社会の早期実現に向けて貢献していきます。
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