センバツの21世紀枠は昨年より1校減の2校が選出された。春夏通じて初の別海(北海道)は日本最東端からの出場。人より牛が多い酪農王国の公立校が聖地での1勝を目指す。もう1校は、昨秋の県大会で智弁和歌山と市和歌山の常連校を撃破した田辺(和歌山)が選ばれた。76年ぶり3度目で、史上2位のブランク出場となる。
人の8倍牛がいる生乳生産量日本一の町に春の便りが届いた。90年夏の中標津を抜き、史上最東端からの甲子園出場が決まると、実家が酪農業の6人を含む部員19人は歓喜の輪を作って喜びを爆発。中道航太郎主将(2年)は「目標であった甲子園に出場できてとてもうれしい」と空高く帽子を放り投げた。
北海道東部に位置する別海町。冬は気温マイナス10度を下回ることも少なくなく、今月だけで2度臨時休校になるなど北海道内でも練習環境が厳しい地域だ。練習場所は主に雪が積もったグラウンドとビニールハウスのみ。ノックは除雪した雪上、打撃はかじかむ手を息で温めながらバットを振り込む。満足のいく環境ではないが、ハンデを言い訳にせず、選手16人で昨秋道大会4強まで勝ち進み聖地への扉をこじ開けた。
春の大舞台を見据え、町ぐるみの手厚いサポートが始まった。候補校に選出された後、島影隆啓監督(41)は「大阪桐蔭さんと当たったら40対0になります。冬に練習する場所がないと厳しい」と曽根興三町長に直談判。町は依頼に応え、コミュニティーセンターを野球部に提供し、打撃練習用の網を購入した。中道の父は漁師仲間を集め、父母会とも協力して網を設置し、フリー打撃が同時に2か所できる新しい室内練習場が昨年末に完成。雪が降れば除雪が入るコンクリートの広場も使えるようになった。
金銭面のサポートも進む。2月に予定している鹿児島合宿にかかる数百万円は、全額を町が負担する方針。また負担割合は未定だが大会直前の遠征、大会期間中の費用も賄う方向で調整が進められており、最大で総額数千万円規模になる可能性も。
全校生徒257人の小さな公立校野球部が、町と一体となってつかんだ甲子園切符。「別海町民のみなさんを勇気づけられるプレーをしたい」と中道は目を輝かせた。町民の期待を背負って、東経145・7度から甲子園に乗り込む。(島山 知房)
◆最北端、最南端、最西端出場校は? 別海は90年の中標津を抜く歴代最東端の甲子園出場校。最北端は遠軽。最西端は1938、39年に出場した現在の中国・天津商、最南端は31~41年にかけて選出された台湾・嘉義中(3度)や嘉義農林(4度)とみられるが日本国内に限れば最南・最西端ともに八重山商工。
◆別海 1950年創立の公立校。全日制の普通科(定員120人)と酪農経営科(同40人)の他、働きながら酪農を学べる2年制の農業特別専攻科がある。生徒数は257人(男135人、女122人)。野球部は78年に創部。昨秋を除く過去3度の道大会はいずれも初戦敗退。部員は19人(うちマネジャー3人)。主な卒業生は平成ノブシコブシの徳井健太。
平成ノブシコブシ・徳井健太「別海高校へ 広大な大地、澄んだ空気、長閑(のどか)な牧場風景。この町で青春を過ごした僕は、毎日が物足りなく感じてた。後輩達よ、燃え尽きるチャンス到来だ。悔しがれ、泣き叫べ、笑い合え! 青春は、恥をかくことだ」
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