先日フランスのパリで行なわれたNike(ナイキ)のイベント「Nike On Air」。
夏に行なわれるスポーツの祭典に向け、最新のフットウェアやアパレルがお披露目されました。
僕も現地に招待いただき、イベントを体験してきました。なかでも最も衝撃的だったのが、イベント終盤に突如繰り出された「13足のコンセプトシューズ」。
もはやこれは「シューズ」と呼べるのか…?といったレベルの、自由で奇抜なデザインだったんですが、 その背景にはナイキらしいビジョンが隠されていました 。
AI x アスリート =
実はこれらのコンセプトシューズは、ナイキがAIを活用してデザインしたもの。
世界トップレベルで活躍している13人のアスリートのインスピレーションと、AIの力を融合させるA.I.R.(Athlete Imagined Revolution) と呼ばれるプロジェクトの一貫でした。
ナイキのデザインチームは、各アスリートの意⾒をプロンプトやアルゴリズムに⼊⼒。⽣成AIや、数式や処理を組み合わせ3DCGのモデルを生成するツールを使用し、アスリートひとりあたりに数百ものイメージを作成してデザインプロセスをスタートさせたそう。
今回は、話題の最先端である人工知能(AI)とナイキの関係性について、ナイキのイノベーション戦略を担うチーフ・イノベーション・オフィサー、John Hoke(ジョン・ホーク)氏にインタビューしました。
人工知能(AI)は、ナイキのデザインやイノベーション戦略において、非常に重要な協力者です。ただ明確にしておくと、AIは人間の創造性を置き換えるものではありません。増幅させるものです。
例えばまず、デザイナーがラフデザインを作成します。するとAIは非常に高いクオリティの画像を作り出すことができます。
後は、その画像をもとに3Dデザインを作成してシューズを成形、テストを行ないます。AIによって、デザインからテストのフローを一気に加速させることができるんです。
いずれはAIの知能、デザイナーの想像力、アスリートの夢、これらがすべて結びつくでしょう。そしてそれは非常に速いペースで訪れようとしています。AIが私たちをどこに連れて行くのか、この目で見るのが待ちきれません。
インタビューを通して「A.I.R」発足の背景、そしてAIに対するナイキのスタンスを感じることができた気がします。
没入型の展示がすごかった
Genealogy of Air(エアの系譜)のルーム
Culture of Air(エアの歴史)ルーム
Future of Air (エアの未来)ルーム
イベント本編の展示では、ナイキのシューズに採用されているクッション技術、エア*の系譜や歴史、未来を感じさせるショーケースが。これから発売予定のシューズなども展示されていました。
*耐久性の高い熱可塑性ポリウレタンで作られたバッグの中に圧縮空気を封入したもの。このユニットは、衝撃を吸収し、足への負担を軽減するため、シューズのミッドソール(中底)に組み込まれる。
こうしてトレンド最先端のシューズたちがお披露目されるなか、ナイキの製品のコンセプトやブランドデザイン全般を監督する、チーフ・デザイン・オフィサー、Martin Lotti(マーティン・ロッティ)氏に、シューズデザインのトレンドについて、インタビューすることができました。
ナイキが好むのは、トレンドを追うことではなく「トレンドを作り出すこと」です。
これを多くのインスピレーショントリップを通じて行います。私は、デザインチームを例えばアイスランドに連れて行きます。人々は「なぜアイスランドに行くのか」と思うかもしれませんね。
デザインチームに私が唯一課すルールは、遠征先ではシューズ以外のものを見ることです。
たとえアイスランドに行ったとしても、シューズを見たらそのシューズと同じようなものを作ってしまいますが、自然や建築、他の産業から感じたことをデザインプロセスに取り入れると、アスリートのインスピレーションと組み合わせ、新しいものを作ることができます。
これがナイキの魔法であり、世の中のトレンドを追うのではなく「トレンドを作り出すこと」です。
クリエイティブワークをするうえで必要になってくる、オリジナリティの演出に大切なのは、こういった思考回路だよなあと、妙に納得してしまいました。
内容が超盛りだくさんだった今回のナイキのイベントをショート動画にまとめてみました。こちらもぜひご覧ください!
からの記事と詳細 ( ナイキのコンセプトシューズがとんでもない形だった理由 - GIZMODO JAPAN )
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