西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、朝日新聞の西田健作記者が、「赤い宝石」と呼ばれるアカムツ(ノドグロ)釣りに挑戦、まさかのクーラー満タンに、ほくほく顔となったのでした。
(トップ写真は西田記者が釣った47センチ、1.7キロのアカムツ。まるでコイのよう)
昨年初釣りのリベンジに挑む
初釣りで何を狙うか。大物を釣り上げて華々しいスタートを切りたい気持ちもあるけれど、おでこ(ゼロ)だと今年の釣りの運気が下がってしまうかも。潮向きや魚の食い気にほんろうされる釣り人は、何より縁起を担ぎます。もちろん私も。昨年の初釣りは、超高級魚のアカムツ(ノドグロ)を狙って、残念ながら釣果ゼロ。釣友の長野剛さんに1匹もらう悔しい結果となりました。
さて、今年の初釣りはどうするか。もやもやと考えていたら、長野さんからLINEに「大変だ! 今日もアカムツ爆釣です!」の書き込みが。慌てて、船宿さんのウェブサイトを見ると、「アカムツ1~10匹」の釣果報告がアップされていました。私は「1」の方に目が行く慎重な性格なのですが、長野さんは「10」。でも、釣友の勢いに乗っかって、2020年は、昨年の初釣りのリベンジに挑むことにしました。
ポイントは陸地も見えない沖合
1月下旬に予約を入れたのは、千葉県旭市の飯岡港にある船宿「幸丸」さん。タイにヒラメにアカムツと、年に何度も通う私の常宿です。集合は港に午前4時30分。時間近くになると、車で休息していた釣り人たちがぞろぞろと出てきて船に乗り込みました。
飯岡港は銚子の南、九十九里浜の東端にある大きな漁港です。アカムツのポイントは、太平洋を東に進んで2時間弱。陸地もすっかり見えなくなるほど沖合の深海にあります。アカムツは、のどの奥が黒いことから「ノドグロ」、また、超高級魚なので「赤い宝石」とも呼ばれています。脂がのった白身は、刺し身、煮物、焼きもののどれもが極上の味。東京・築地の場外市場なら1キロ4000円以上。6000円なんてことも。何とか1匹釣れればいいのですが……。
この日の水深は250~260メートル。夜が明けた午前6時過ぎ、ようやく釣りが始まりました。アカムツ釣りの餌は、ホタルイカ、サバやサンマの切り身など。それを2本の枝針に刺して、海底に落とします。錘は200号(約750グラム)。浮力が働くとはいえ、竿(さお)を水平に支えるだけで体力を使うヘビーな釣りです。
アカムツ釣りのコツを達人に聞くと、錘(おもり)を底から持ち上げず、ちょうど底についているくらいの位置をキープするのが大事とのこと。餌をくわえたアカムツに、錘の重さを感じさせないためです。船の揺れを体で吸収しながら、道糸を張らず緩めずの状態にキープして、海底近くにいるアカムツのアタリを待ちます。
35センチ1匹ゲット、ほっと一息
「初釣りなので、とにかく1匹」。そう念じて1時間ほど。ついに竿先が、ググ、ググと小さくお辞儀しました。どうやら、ホタルイカをくわえたみたい。
きたか! 竿先を上げて合わせを入れると、ググググ、ググググという手応えがありました。でも、ここからが難しいのが深海の釣り。錘が重いので、さらに魚の重さが加わっているのか確信が持てません。仕掛けを巻き上げると4分はかかる。空針だと、絶好のチャンスを逃すことになります。一方、ひるんでいると針が外れてしまうことも。ここは、巻き上げてみるしかない!
アカムツは面白い魚で、ほとんど例外なく、巻き初めからしばらくググググ、ググググと魚信があって、途中はシーンと反応が無くなり、最後50メートルぐらいになると、またグググググ、グググググと激しく抵抗します。今回はどうなのか。竿先を眺めていると、まさにそんな感じ。
電動リールが道糸を巻き上げるのを待つこと4分。水面に近づいてきた魚影を見ると、赤い。やりました! 初釣りで「宝石」のゲットに成功しました。標準サイズの35センチほど。「今日の仕事は終わったな」。そんな軽口をたたきながら、記念撮影です。
突如、船中が入れ食いに!
でも、ドラマはまだまだ続きました。しばらくすると、またアタリ。私も含め、横一列の釣り人が次々とアカムツを釣り上げていきます。長野さんは良型のアカムツをダブル。船縁(ふなべり)の桶が真っ赤な魚で埋まっていきます。私にもダブル。1匹釣れるかどうかのアカムツなのに、あり得ない!
道糸を巻くのは電動でも、竿をしっかり支えていないと、アカムツのグググググを竿の弾力でかわせません。錘750グラム+アカムツの引き。3匹、4匹と釣っていくうちに、腕がぱんぱんに。「宝石」が釣れすぎて、腕が疲れるなんて。
ついにアカムツは入れ食いに近い状態に。しかも、今度の魚は、これまでよりずっと重い。グググググググ、グググググググを竿の曲がりで受け止めながら弾力でかわしながら、慎重に道糸を巻いていくと、ひときわ大きな赤い魚体が水面に現れました。でっぷり太って、まるでコイみたい。後で計ると、47センチ、1.7キロの大アカムツでした。
船長は、あまりの釣れっぷりに、資源保護の観点から早上がりを決断。いつもより30分早い午前10時30分に納竿となりました。私と長野さんはそろって8匹。竿頭は10匹でしたが、私たちの釣果でも十二分。初釣りで、昨年のリベンジを果たすことができました。
煮てよし、あぶってよし、刺し身もよし
大事に持ち帰ったアカムツは、刺し身、あぶり、煮魚に。「白身のトロ」と呼ばれる刺し身は口の中でとろけ、皮目をあぶると豚肉のように脂がしたたりました。まさに絶品のうまさ。
長野さん宅ではアカムツのフルコースを家族で堪能。特に、煮付けが最高だったとのことでした。アカムツのフルコース、お店で食べたらいくら取られるか……。
爆釣の知らせを聞いて駆けつけても、たいがいは「昨日までは良かったんだけどね」と常連さんに言われて終わり。その日が爆釣になることはなかなかありません。しかも、なかなか釣れないアカムツで、こんな釣果にめぐまれるなんて。これだから釣りは止められません。いい釣り初めになりました。
幸丸(さちまる)
https://cb-sachimaru.com/
PROFILE
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安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一
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西田健作
朝日新聞記者
1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。15年ほど前に千葉県浦安市に引っ越し、ディズニーランドのすぐ近くで魚が釣れることを知り、釣りにはまる。朝日新聞社では文化くらし報道部で美術担当、映画担当などを務め、現在は同部次長(デスク)。外に出られない平日のモヤモヤから、ますます週末の釣りにのめり込んでいる。
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February 04, 2020 at 09:07AM
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