５日解禁から９日遅れの初操業となったサクラエビ春漁。由比漁港から１４日午後、山七若宮丸（約６トン）に乗船し、焼津沖で投網を見守った。しかし、エビではなくほぼハダカイワシだけが水揚げされる“ほろ苦い”船出となった。
「これ、やれと言えばやれるかな」。午後７時前、船長の山崎直哉さん（４８）＝同区蒲原＝が魚群探知機を見ながら、無線でもやい船の船長の男性（７３）＝同＝に投網を打診した。男性は低い声で応じたが、首をひねらざるを得なかった。
実際、直哉さんにとっても苦渋の決断だった。通常、海中に帯のように見えるサクラエビの群れはない。水深１００メートルで網を引いて入ったのは、銀色に光るハダカイワシの子供（体長約５センチ）や小さなイカ約１・５キロ。「海に捨ててしまおうか」との声も漏れた。
“駿河湾の宝石”はどこに行ってしまったのだろう―。２０１９年春漁以降、漁師たちは主な産卵場の湾奥部に禁漁区を設定するなど漁史上初の厳しい自主規制を敷いてきた。しかし、春漁前の湾奥の資源調査では魚影は薄いままだった。
都内の大学を卒業後、２３歳で家業のサクラエビ漁師を継いだ山崎さん。「目の前の海で漁ができないことがさみしくてたまらない」
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April 15, 2020 at 09:50AM
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