[1.9 選手権準決勝 山梨学院高 2-2(PK3-1)帝京長岡高 埼玉]
2点差を追いつかれ、PK戦でも2-0から3人目と4人目が連続失敗。山梨学院高は帝京長岡高に飲み込まれかけていた。だが、GK熊倉匠主将(3年)が直後に帝京長岡4人目を足でストップする。
1人目を止めたのに続き、この日2本目のPKストップ。後半終了間際に至近距離からのシュートを止めるようなシーンがあったものの、特別な活躍をしていた訳ではない。加えて、2点リードを追いつかれるという悔しさもあったはず。それだけに、「本当に今日、正直自分は何もやっていなくて何とかしたいとPK戦に臨んで止められて良かった」と喜んだ。
日本高校選抜のGKコーチを務めた経歴も持つ村松征二郎GKコーチは以前、教え子について「今まで見た中で一番凄い身体能力。届かない距離が届いちゃう。一番は立ち幅跳びで(高校3年生の平均を大きく上回る)2m85跳びます。それで(身体能力だけに頼るのではなく)努力もする」と語っていたが、その身体能力と普段からPK練習してきた成果を発揮して見せた。
シュートストップは彼の特長だ。「打たれても入らないと思って見てもらえれば。そこは自分のウリだと思います」。安定感の高さを評価され、自分でも安定感高くプレーすることへのこだわりを持っているが、もうひとつの強みであるシュートストップで再びチームを勝たせた。
全国優勝まで1勝。熊倉はFC東京U-15深川時代の全日本ユース(U-15)選手権決勝で自身のミスから追いつかれ、PK戦の末に敗れている。大会前、熊倉は「本当に中学の時、最後決勝で自分がやらかしてしまって準優勝。悔しい思いをしているので、山梨に全国優勝をするために来たので、最後自分の最大限のプレーをして『自分のおかげで勝てた』と言ってもらえるようにしていけたらなと思います」と語っていた。その守護神は、今大会、2度のPK戦勝利を含めて「熊倉のおかげで勝てた」と言われるくらいの活躍を見せている。
18年のインターハイ優勝時は1年生で1人だけ登録メンバー入りしていたものの、控え。今大会はチームの主将、大黒柱として全国優勝を懸けた舞台に立つ。その決勝は、中学時代のチームメートで、当時10番を背負っていたMF安斎颯馬(3年)擁する青森山田高との対戦。「クマから点獲りたいと思っている」と語る旧友ら青森山田の攻撃を封じて、全国優勝を勝ち取る。
(取材・文 吉田太郎)
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