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Sunday, December 19, 2021

「会いたい」最後だけでも…業者ら、弔いの形模索 新型コロナ・納体袋や消毒 - yamagata-np.jp

ikanghus.blogspot.com

2021/12/19 10:20

 新型コロナウイルスの感染拡大は落ち着いているが、これまで県内では56人もの命が奪われた。悲しみに暮れる家族は、感染予防のため遺体に触れることもできない。遺族の思いをくんだ病院や自治体、葬儀業者は「せめて対面でお別れを」と、コロナ禍の中での弔いの形を模索し、対応してきた。

 「ご遺族の意向に沿えるよう最大限の努力をしてきた」。コロナ患者の葬儀を複数執り行ってきた県内の業者は振り返る。県内初の死者が確認されたのは昨年7月初旬。厚生労働省が処置や葬儀についてのガイドラインを示す前で、誰もが手探りの状態だった。社員への感染リスクが分からず恐怖心もある中で、車や安置所の消毒、防護服の準備など細部まで気を配り、葬儀を行った。

 この数カ月前には、志村けんさんや岡江久美子さんといった著名人が相次いで亡くなった。玄関先に骨つぼが置かれた映像が流れ、「コロナで亡くなると最後の対面もできないのか」との印象が広がった。「当時は誤解も多かった」。県の担当者は振り返る。

 遺体は呼吸をしないため飛沫(ひまつ)もなく、納体袋にきちんと収容して密封できれば感染リスクはほぼないとされる。県食品安全衛生課は昨年5月に感染者専用として透明の納体袋を発注。県内で死亡例が続いた昨年12~今年1月の第2波の時期には、納体袋越しに遺体の顔が見えるようにした。3月には葬儀業者からの求めを受け、県が統一基準を設けるための会議を開催。各市町村や病院、業者で情報共有を図った。

 県や業者によると、故人の化粧や服などを整え、納体袋に収容した後に納棺するまでを病院が担当。袋が破れた際の安全対策として、ひつぎには目張りを施す。一部の会社では、遺族が安置所で一昼夜共にすることも可能だといい、火葬場では立ち会いや骨上げも通常通り行われている。

 一方、コロナ患者ではないケースで遺体の体液を入れ替えて腐敗を防ぐエンバーミングの需要も高まっている。背景には、感染予防のため入院中も面会が制限されることがある。県内で唯一対応している業者によると、「会えない時間が長いと、亡くなった時のお顔をできる限り生前の姿に近づけたいとの思いが強い」という。16万~20万円追加費用がかかるが、コロナ前と比べ需要は倍増している。

 新たな変異株の出現で流行の第6波も懸念される中、表には出ない“おくりびと”たちの努力が、新しい別れを支えている。

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