牛などの塊肉を串刺しにして、じっくり焼いた料理「シュハスコ」は、ブラジルの国民食だ。浜松市中区の専門店「ショウパーナ」では、四時間ほどかけて炭火焼きで仕上げる。豆のスープやラザニアなどのサイドメニューに、ドーナツ形の濃厚なプリン…。食べ放題プランをメインに、多彩なメニューがそろう。
ブラジル人のジャコモさんと日本人のトッフォリ貴代さん夫妻が、二〇〇五年に開店した。建物が古民家だったため、ポルトガル語で古い家を意味する「ショウパーナ」を店名にした。
◆日本人と交流の場
全国でも有数のブラジル人集住地域として知られる同市だが、開店当時、日本人と交流する場は限られていたという。「ブラジルの本格料理を食べながら、日本人も一緒にみんなが集える場所にしよう」と、ブラジルで祝い事などで食べるシュハスコの専門店にすることを決めた。
家族や会社の仲間が楽しく宴会ができて、一人でも気負いなく楽しめるアットホームな店を目指して頑張ってきた。それが、新型コロナウイルス禍で一転した。客足が激減したほか、肉などの材料費も高騰し、経営に大きな打撃を受けた。以前は年中無休で午前零時まで営業していたが、休業日が増えていった。今は土日のみの営業で、時間も午後八時までに限っている。
◆「なくなると困る」
カード会社の提案で、店を守るためにクラウドファンディング(CF)を始めたのは昨年九月。貴代さんは当初、客から支援してもらうことに抵抗があったという。だが、CFのホームページに書き込まれた「なくなると困るのです」といった支援者たちの応援メッセージに、夫妻は救われた。
遠方に引っ越した元常連客や、「いつか行きたいと思っていたんです」という来店経験のない人らから、昨年末までに二十万円以上の支援が寄せられ、二人を勇気づけた。
ブラジル人客が母国料理を日本人らに自慢する姿を店内で見てきた貴代さんは「地域に必要とされていると感じる。小さなレストランだけれど、ブラジルの方々にとって大切な料理を守っていきたい」と話す。
地域に恩返しをするため、奮起の日が続く。 (中田弦)
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