旭市清和の干潟郵便局前にある「K」字形の変形交差点。朝の時間帯は乗用車や大型トラックがひっきりなしに往来する。すぐ近くには市立中和小学校と干潟中学校があり、集団登校の児童や自転車の生徒が歩行者用信号のボタンを押して横断歩道を渡る。
「整備された歩道は比較的幅があって縁石もある。それでも安心はできない」。この通学路の近くに住む男性は「身近に危険な通学路がある」と、東京新聞千葉支局に情報を寄せてくれた。
男性が心配するのはドライバーの運転マナーだ。交差点に設置された信号機は、車両用と歩行者用の青信号のタイミングがずれる「歩車分離式」。歩行者が、右左折する車両に巻き込まれにくくなるメリットがある、とされる。
しかし、ドライバーは普通の交差点と同様、左右の車両用信号が赤になると進行方向が青になると勘違いし、アクセルを踏み込むケースもある。ひやりとする瞬間も多いという。
実際、記者が平日の登校時間帯に取材に訪れると、青から黄信号に変わっても無理やり進行しようとする車も見られた。通常の信号機に比べ赤信号の待ち時間が長くなるからか、運転が強引になってしまっているように感じた。
交差点の通行車の運転席を見ると、スーツ姿の通勤者や運送トラックのドライバー、園児を送迎する保護者らが目立った。交通ルールを守る人がほとんどだったが、朝の慌ただしさに追われる姿も容易に想像できる。
八街市で昨年六月、飲酒運転のトラックにはねられ児童五人が死傷した事故を受け、全国の自治体で通学路の一斉点検が進んだ。県内では四千四十四カ所が対策が必要な危険箇所としてピックアップされ、そのうち旭市内では九十四カ所が対象になった。
ただ、旭市のこの交差点は、他と比べると歩道や信号といったハード面の整備が進んでおり、「危険箇所」からは抜け落ちた。そのため、ソフト面で安全を補完しようと、近隣小学校の教員や保護者らが横断旗を持ち、毎朝の登校を見守っている。
男性は「ハード面が整備されていてもドライバーがルールを守らなければ、とたんに危険な通学路に変わる。運転手はどれだけ急いでいても、子どもが毎朝通ることを忘れないでほしい」と訴える。
取材で現場を訪れた際、この交差点の問題点が分かるまで時間がかかった。こうした「隠れた危険」は各地の通学路にあるはずだ。ドライバーや子どもら、通学を見守る人たちが一体となり、まずはその危険を認識することが、悲惨な事故を防ぐための第一歩だと感じる。(加藤豊大)
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「道幅が狭く歩道も整備されていない」「スピードを出す車が多く通行する」−。各地の通学路に潜むさまざまな危険について取材し、随時掲載します。電話やファクス、メールなどで、みなさんの「身近な危険箇所」を教えてください。
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