地方私鉄有数の古参車両で引退後は福井県越前市の北府駅に保管されていた福井鉄道福武線「200形」車両が6月5日、同駅構内で一般公開された。保存展示のための外壁補修を控えており、現役時代そのままの車両が見られる最後の機会。約6年ぶりに自走する雄姿を見せ、県内外から集まった鉄道ファン約130人を沸かせた。
保管されていたのは、200形で現存最後となった1962年製の1編成。昭和から平成にかけ、越前市と福井市を結ぶ福武線の看板列車として活躍した。次世代型低床車両フクラムの導入などに伴って2016年から休車扱いとなり引退。越前市が「北府駅鉄道ミュージアム整備事業」で保存展示する計画で、6月中に補修工事に入るため一般公開した。
車両工場横の線路上に置かれていた200形が留置線に移されヘッドライトを点灯、警笛の合図で出発した。腐食による傷みが見られるものの現役当時と同じベージュと濃いグリーンの車両が約150メートルを往復した。待ち構えた鉄道ファンたちは盛んにカメラのシャッターを切っていた。
200形の保存を求める署名運動にも取り組んだ鉄道友の会福井支部の岸本雅行支部長は「高度経済成長期に県民の夢と希望を乗せて走った車両。全国に誇れる文化財的な価値がある。貴重な機会になった」と感慨深げだった。
補修工事は車両工場内で秋ごろまで行われ、外壁を運行開始当時の配色に修復する。駅駐車場の敷地内に整備する展示場で23年春から保存展示する。
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