エンゼルス・大谷翔平投手(27)が、今季中にトレードで移籍する可能性が高まってきた。チームは3日(日本時間4日)、アストロズに敗れて3連敗を喫し、ア・リーグ西地区4位に低迷。プレーオフ進出は極めて厳しい状況となっている。契約延長には巨額の資金が必要とされ、トレードはエ軍にもメリットが大きい。23年オフにFAとなる大谷の動向から、目が離せない。
エンゼルスの低迷が止まらない。延長に入らない試合では史上ワーストタイの20三振を喫し、アストロズにサヨナラ負け。ワイルドカード圏内まで7ゲーム差に離され、ポストシーズン進出は極めて厳しい。苦況下でトレード期限の8月2日(日本時間3日)まで1カ月を切り、大谷の去就に関して周囲の騒がしさが増している。
ある大リーグ関係者は「大谷はエンゼルスに恩義を感じている。FAで移籍するよりもトレードの方が双方にメリットが大きい」と話した。移籍が有力視される最大の理由は、エ軍に引き留める資金の余裕がないことだ。
大谷はメッツの右腕シャーザーの史上最高年俸4333万ドル(約58億5000万円)を上回る大型契約が見込まれる中、開幕前の話し合いでエ軍はオファーに至らなかったと、6月14日に米スポーツサイト「ジ・アスレチック」に報じられた。トラウトと30年までの12年契約、レンドンと26年までの7年契約を抱えていることが難点。一方、ニューヨーク・ポスト紙は同16日に「4年総額2億ドル(約270億円=平均年俸約68億円)を出す多くのチームがいる」と語る他球団幹部の談話を紹介した。
大谷の今季中の移籍が実現すれば見返りに有望株5選手程度、あるいはそれ以上も期待できる。さらにポストシーズン進出への可能性が厳しくなってきた場合、来季を見据えた戦いができる意味でもエ軍にはメリットが大きい。一方で大谷は昨季終盤、エ軍への愛着を示した一方で「それ以上に勝ちたい気持ちが強い」「ヒリヒリする9月を過ごしたい」と話すなど、ワールドシリーズ制覇を狙えるチームでのプレーを熱望。双方に「ウィンウィン」となる。たとえ今季中にトレードが成立しない場合でも、オフに大谷争奪戦が水面下で激しく繰り広げられることは必至だ。
移籍先候補には資金が豊富で、世界一に向けた積極補強にも意欲的なヤンキース、メッツ、ドジャースなどが挙がる。トレード期限まであと1カ月のエ軍の戦いが、大谷の命運を握っている。
≪有力球団はぜいたく税も適用されるほど資金豊富≫大リーグ機構の調べによる各球団の今季年俸総額の1位はドジャースの3億1060万ドル(約419億3100万円)。ド軍、メッツ、ヤンキース、レッドソックスは年俸総額の規定を超え、課徴金(ぜいたく税)を支払うなど資金力が豊富だ。特にメ軍のスティーブ・コーエン・オーナーは資産146億ドル(約1兆9710億円)の投資家で補強に最も積極的な姿勢を見せている。
≪移籍なら来春WBC断念も≫大谷が今季途中、もしくは今オフに移籍した場合、来春に開催予定のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場可否に影響を及ぼすことになりそうだ。出場の可否は各球団や選手本人の意向に委ねられているが、WBCが開催される3月は大リーグのキャンプ期間。移籍選手はこの時期に新たなチームの環境に慣れる必要性があるため、参加を断念するケースが多い。
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