広瀬眞之介 遭遇設計代表取締役
企業で永遠の課題となる人材育成。その研修で使えるビジネスゲーム教材を開発し、コストの削減を提案する。(聞き手=白鳥達哉・編集部)»»これまでの「挑戦者2022」はこちら
ゲームで楽しく社員研修
企業で社員の研修教材として使えるオリジナルのアナログゲーム(カードゲームやボードゲーム)を開発しています。
例えば、ある企業からは、採用イベントで学生に自分の会社を知ってもらえるゲームを作ってほしいという相談があった際は、会社の事業内容、社長などの人物、企業がある地域のことなどをキーワード化したカードゲームを製作しました。それらのカードをランダムに引いて、出てきたキーワードを組み合わせて新しいサービスを作り、決められた時間内に他の人にプレゼンする、というゲームです。学生の印象にも残りますし、企業側の人間もこのゲームで遊べば、自分の会社のことが多角的に理解でき、語れるようになります。発想力やプレゼン力を鍛えることも可能です。
カードゲームやボードゲームを作るには、わずかなルールの矛盾も許されません。そのため、製作作業の7割は企業への質問に費やします。
他の企業の例ですが、リーダーに向いた「気の利く人材」を発掘できるゲームを作れないかという相談があった際は、「気が利くとは何か、どこを見てそう感じたのか、他の部分は見ていないのか」などの質問をこちらから企業に投げかけました。重箱の隅をつつくように細かく聞いていくことで、初めて矛盾のないゲームが出来上がるのです。このような質問をしていくと、企業側も相談時点ではふわっとしていた求めているものが、明確に分かるというメリットがあります。
企業だけでなく、自治体でも昔からの住民と新しい住民の交流を図る一つのツールとして、ゲームを使ってもらっています。ゲームなら子どもから老人まで楽しめる。これからの地域の担い手を作るには有効な手段です。
研修には疑似体験が必要
元々は2011年に、コワーキングスペースの運営をするために会社を設立しました。しかし、運営がうまくいかず事業をたたみ、その後は他のコワーキングスペースのスタッフやコンサル業の請負などをしていました。
現在の事業を興すことを思いついたのは、とある企業のメンタルヘルス研修にゲストとして参加したときです。その研修で感じたのがとにかくつまらないということ。しっかりとした研修にするには疑似体験のようなものが必要だと感じました。うまく疑似体験ができるのは何かを考えたとき、アナログゲームでできるのではと考えたのがきっかけです。
最近はインターネットを介してゲームができるシステムを開発しました。NTTコミュニケーションズをはじめ、さまざまな企業が利用しており、利用者も好調に増えています。さらにゲームの司会進行を機械が自動で行ってくれるシステムも現在、開発を進めています。
社員の研修は、指導や教育に多大なコストがかかります。でもゲームを使えば、OJT(職業教育)のようなことが自動化できる。そうなればコストの削減だけでなく、年齢や経験などの壁も取り除けるはずです。少しでもその助力になれるような企業として成長していきたいです。
企業概要
事業内容:ビジネスゲームの設計・開発
本社所在地:東京都文京区
設立:2011年10月
資本金:900万円
従業員数:5人(業務委託含む)
■人物略歴
ひろせ・しんのすけ
1982年東京都生まれ。2007年デジタルハリウッド大学大学院デジタルコンテンツマネジメント修士課程修了。コワーキングスペースの運営などを経て、11年株式会社小石川を設立し、17年遭遇設計に改名。40歳。
からの記事と詳細 ( 挑戦者2022:アナログゲームが広げる新たなOJTの形 | 週刊エコノミスト Online - 週刊エコノミスト Online )
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