大林組は、山岳トンネルの出来形測定と作業監視を遠隔操作で行う「出来形・監視UGV(自動走行車)」を開発した。出来形を測定するスキャナーと、作業状況を監視する切羽用カメラを搭載。コンクリート吹き付け機をリモコンで遠隔操作しながら、カメラ映像による遠隔監視とスキャナーでの吹き付け不足箇所の確認を同時に行える。切羽直下を無人化し、安全性と品質の確保を両立した施工を実現する。
UGVは切羽や重機に近づき、搭載したスキャナーで掘削や吹き付けコンクリートの出来形を測定する。設計断面と比較し、▽掘削形状▽吹き付けたコンクリートの仕上がり面▽吹き付け厚-の三つの管理ポイントを算出。切羽用カメラの映像を、遠隔臨場やAIによる切羽評価や崩落検知システムに活用し、さらなる安全性向上を図る。
UGVの前後左右に取り付けた4台の移動用カメラの映像を通じて、無線で操作して移動する。最大で400メートル離れた場所でも遠隔操作ができる。湧水箇所や小さな岩の塊がある場所でも走行できるため、人が切羽や重機に近づくことなく、定量的な出来形測定や監視が可能となる。
山岳トンネル工事では、掘削や吹き付けコンクリートの出来形を目視で確認している。経験に左右されやすく、定量的な判断ができないことが課題だった。出来形確認や作業の監視は、人が切羽や重機の近くで行うため、土砂や岩盤が崩れる「肌落ち」や重機に接触するなどの災害リスクがあった。
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