空手の日本一を決める全日本選手権が日本武道館で行われ、形の女子は大野ひかる選手が3連覇を果たし、男子は大野選手の夫の西山走選手が初優勝しました。
夫婦そろっての優勝は、史上初めてです。
ことしで50回目となる空手の全日本選手権は、11日、技の正確さや力強さなどを競う「形」と、1対1で対戦する「組手」の個人戦が行われました。
このうち女子形の決勝は、大分県出身で世界ランキング1位の大野選手と20歳の大内美里沙選手という去年と同じ顔合わせとなり、大野選手が力強くキレのある演武で27.60をマークして3連覇を果たしました。
東京オリンピックで銀メダルの清水希容選手は、準決勝で大内選手に敗れて3位でした。
男子形は、東京オリンピック金メダリストで去年までこの大会を10連覇した喜友名諒選手が欠場し、去年準優勝の27歳、西山走選手が決勝で迫力のある演武を見せて28.74の高得点で初優勝を果たしました。
西山選手と大野選手は夫婦で、夫婦そろっての優勝は大会史上初めてです。
体重無差別で争う組手は、男子は崎山優成選手が3連覇を達成し、女子は大学生の澤江優月選手が2年ぶり2回目の優勝を果たしました。
大野ひかる「ことしいちばんのいい形」
また、決勝では去年と同じく「スーパーリンペイ」を選択したことについて、「去年は師範と約束して挑戦したが、ことしは自分からしたいと言ってここまで仕上げてきた」と話してました。
その上で、今後に向けて「やることは変わらないが、これからも自分の形を追求してさらにいい形を見せられるように頑張りたい」と意気込んでいました。
西山走「妻と日本一になることができ幸せ」
11日は、先に優勝を決めた妻の大野選手が見守る中、決勝で迫力のある演武を見せて優勝し、「いつも女子の試合が先にあって一緒に喜ぶことができなかったので、こんな幸せなことはない」と話し、大野選手と抱き合って喜びを分かち合っていました。
今後に向けては、「アジア大会優勝、そして世界チャンピオンになりたい」と意気込みを示しました。
澤江優月「いい締めくくりができた」
決勝では1ポイントを先制される展開でしたが、「焦らずに1点1点取り返そうという気持ちだった」と振り返りました。
今後に向けては、「昨年は決勝で負けて悔しい思いをしたが、来年は社会人になって次のステージに立つので、この大会で2連覇3連覇できるように頑張っていきたい」と意気込みを示しました。
崎山優成「正直ほっとした」
その上で今後に向けて、「来年の世界選手権で優勝、またこの大会で4連覇できるよう頑張っていきたい」と意気込みを示しました。
清水希容「1度立ち止まって考える」と涙
清水選手は3位決定戦に勝って大会を終えた後「2年前に8連覇を目指して臨んだこの大会で敗れてしまって、今大会は必ず取り返すという思いで集中して稽古もしてきたが、近年でいちばんよくない結果に終わってしまった。緊張感よりも落ち着いて技を出すことをメインにやってきたが、逆に気迫や勢いが欠けてしまった」と振り返りました。
そして「オリンピックを終えて現役を続行するかすごく悩んで1年たってやっと気持ち的にも体的にも戻ってきた感じだったが、こういう風に負けてしまって、落ちているというか足りないんだとすごく思った」と話しました。
11日は会場に、東京オリンピックの決勝や世界選手権などで何度も競ってきた最大のライバル、スペインのサンドラ・サンチェスハイメ選手が訪れていたということで「彼女に『うん』と言わせる演武をしたかったけど、そうならなかったのが悔しい」と話しました。今後に向けては「世界に向けてやっているが、ここで負けてしまったので1度立ち止まって考えようかなと思う」と涙を流しながら話していました。
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