◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 最終日(9日、兵庫・六甲国際GC=6526ヤード、パー72) 1打差の2位から出た大里桃子(25)=伊藤園=が6バーディー、1ボギーの最少67で回り、通算12アンダーで涙の逆転V。21年5月…
◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 最終日(9日、兵庫・六甲国際GC=6526ヤード、パー72)
1打差の2位から出た大里桃子(25)=伊藤園=が6バーディー、1ボギーの最少67で回り、通算12アンダーで涙の逆転V。21年5月ほけんの窓口レディース以来、1120日ぶり3勝目を達成した。1998年度生まれ「黄金世代」は前週の新垣比菜に続く連勝。自身初の海外メジャーとなる今夏のAIG全英女子オープン(8月22日開幕、英セントアンドリュース・オールドコース)の出場を決め、同学年で仲のいい、19年全英覇者の渋野日向子(25)=サントリー=との再会を待ちわびた。
1差に迫られ、迎えた18番。大里は131ヤードからの2打目で9アイアンを思い切り振った。「スコアボードを見ずに自分のプレーを貫こう」。小雨が降る中、1・5メートルの好機につけ勝利を決定づけるとこわばっていた表情が緩んだ。終盤に3バーディーと勝負強さを見せ「いろんな人の顔が浮かんだ。苦しかった分も報われた」と3年1か月ぶりの優勝にうれし涙を流した。
パターイップスを克服してつかんだ前回の2勝目から長い道のりだった。昨年はメルセデス・ランク86位で初のシード喪失。昨夏以降、球筋をフェードに変えて予選会(5位)から今季に臨んだ。オフはトレーナーとともに体やスイングを研究。腰などにけがを抱えた昨季はショットが不振で「ゴルフをやめようかと悩んでいた」というほどだったが、「久しぶりにゴルフが楽しい」と心身ともに復調した。
前週は同じ黄金世代の新垣が6年ぶり2勝目。「比菜ちゃんの優勝を見たり、渋野が全米(女子OP)で2位に入ったり、刺激をもらった」と自身も奮起した。2010年に世界ランク1位に上り詰めた今大会のアンバサダー・宮里藍さんに憧れる世代で、大里もその一人だ。藍さんから青色のチャンピオンブレザーを着せてもらい、「ゴルフを始めた頃からの憧れの方。夢みたいで本当にうれしい」と声を弾ませた。
上位2人に与えられるAIG全英女子オープン切符を獲得した。5年前の覇者、渋野と初めて出会ったのは高校2年。ともに18年のプロテストで2度目に合格し高め合ってきた。先にツアー初優勝を飾ったのは大里。しかし、全英初Vフィーバー後は「渋野の友人」と呼ばれ、一時は寂しさを感じた時期もあったという。その親友とは全英の舞台で再び会うチャンスをつかんだ。
「最近会う機会も減っているけど、これを機に連絡して練習ラウンドも一緒に回ってほしい。向こうの経験者にいろいろ教えてもらいたい」と現地での再会を心待ちにした。海外も高校生以来で「パスポートが途切れている。実家に帰って、準備します」とおどけた。
「この優勝で自信を取り戻すことができた。また4勝目、5勝目ができるように頑張りたい」と大里。苦境を乗り越えてつかんだ頂点の景色は格別だった。(岩原 正幸)
◆1998年度生まれ「黄金世代」 米ツアー6勝で日米11勝の畑岡奈紗、日米7勝の渋野日向子ら国内女子ツアー歴代最多15人が優勝。今季は臼井麗香、天本ハルカが初優勝を飾った。
大里 桃子(おおさと・ももこ)
▽生まれ、サイズ 1998年8月10日、熊本・玉名郡生まれ。25歳。171センチ、60キロ。
▽ゴルフ歴 8歳から始める。熊本国府高3年時の2016年、九州ジュニアで優勝。18年7月のプロテストに2度目の挑戦で合格した。
▽ツアー戦績 18年8月のCATレディースでプロ入会23日目の最短記録で初優勝。21年に2勝目。
▽ドライバーの平均飛距離 約250ヤード。
▽家族構成 両親と兄。
▽名前の由来 元中学体育教師の父・充さんが大里の兄をプロに育てたかったため、ジャンボ尾崎からとって「将司」と命名。娘には「プロになれなくても、ゴルファーの妻になってくれれば」と、女優の菊池桃子(プロゴルファー西川哲の元妻)から名付けた。
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