スピードスケート世界選手権の最終日が6日、ノルウェー・ハーマルで行われ、高木美帆(27=日体大職)がオールラウンド部門で総合2位に入った。17、18、19年に続く4度目の表彰台。北京五輪で5種目に挑戦し金メダル1個、銀メダル3個を獲得した2週間後の大会で、大健闘の成績を収めた。

高木美の壮大な挑戦が結実した。「5000メートルを滑り終えた直後はやりきったと思い後悔はなかったが、いざ表彰台に出ると、この大会で1番に上りたかったという気持ちになった」と語った。

「普段のシーズン後半に比べれば体や気持ちの部分で疲労があった」と前日に振り返った通り、五輪の5種目挑戦の代償は大きかった。4年前、平昌五輪直後にあった同大会では金メダルを獲得したがコロナ禍という状況にも苦しんだ。

「気軽に人とカフェの時間も楽しめない。ゆっくり気持ちが休まる時間がなかったことも、自分の中で影響があった」。また、前回の五輪以上に「出し切った感がつよく、枯渇していた」とも語った。

それでも世界のスケーターが敬意を表すオールラウンダーにこだわり続けた高木美は「五輪とはまた違った、挑む価値がある大会。五輪後、気持ちの波はあったが、自分の出来ることを最大限やってこのタイトルを取ろうとチャレンジをしてきた」。

この日、出場した1500メートルでは1分55秒03で1位。続く5000メートルでは自己ベストとなる7分1秒97で4位だった。5日の500メートルは38秒31で1位。3000メートルでは4分2秒73で5位だった。

五輪で500メートルを含む5種目に挑戦したのは92年アルベールビル五輪の橋本聖子以来。その上、1000メートルで金、500、1500メートル、団体追い抜きで銀3つという快挙を成し遂げた。連覇を狙った団体追い抜きでは姉菜那の転倒もあり、悔し涙の銀。身も心もボロボロになりながら、五輪と世界選手権に輝かしい名を刻んだ。【三須一紀】