東急歌舞伎町タワーで導入されたジェンダーレストイレがSNS(交流サイト)上で炎上するなど、性的少数者への配慮を考えた上で設置された公共トイレが、かえって利用者の反発を受けるケースが相次いでいる。男性用小便器を除いて個室はすべて性別を問わない共用スペースである点が批判を受けた。社会全体で多様性推進を掲げる動きが高まる中、すべての人が安心して自然に使えるトイレの形はどうあるべきか。トイレメーカー側の取り組みを追った。
批判を受け改装された東京・新宿の東急歌舞伎町タワーのトイレ。男性用・女性用・多目的に分けたトイレに改修された。
トランスジェンダーなどの性的少数者への配慮を考えた上で設置された公共トイレが、利用者の反発を受けて改修を余儀なくされる動きが増えている。2023年4月に開業した東急歌舞伎町タワーで導入されたジェンダーレストイレが、批判を浴びた結果わずか4カ月で消滅した問題はその象徴だろう。
同様の出来事は自治体レベルでも発生している。例えば渋谷区では2月、区内の公衆トイレをジェンダーレストイレに建て替えた際に住民から反発の声が上がった。3月には、埼玉県が「可能な限り性別に関わらず利用できるトイレや更衣室などを設ける」と定めた指針が「女性用トイレを廃止してジェンダーレストイレの設置を義務付けようとしている」と、誤った形で広まり、県は対応に追われた。
物議を醸した事例をひもとくと、いずれも男性用小便器を除いて個室はすべて性別を問わない共用スペースである点が批判を受けている。東急歌舞伎町タワーのトイレでは「男性の前で個室に入りづらい」「犯罪に遭いそうで怖い」など、女性からの苦情が相次いだ。これまで自分の性自認と異なるトイレに入らざるを得なかったトランスジェンダーに配慮した結果、男女別トイレを問題なく利用してきた層から懸念の声が上がったのだ。つまりジェンダーレストイレは、形式的には性別を問わずに利用できるトイレではあったものの、気兼ねなく利用できるものではなかったと言える。
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