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Tuesday, June 9, 2020

【主張】五輪の簡素化 「完全な形」にこだわるな - 産経ニュース

 新型コロナウイルスの世界的大流行を受け、来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、大会の簡素化が検討されている。

 人々の間では「3密回避」や「社会的距離」などの新しい概念が浸透しつつある。

 コロナの時代に応じた「新しい生活様式」へと社会が移行する中で、五輪も新しい形を模索するのは自然な流れである。

 安倍晋三首相は東京五輪を「人類が新型コロナに打ち勝つ証しとして、完全な形で実施する」と訴え、延期の支持を得た。

 しかし、ウイルス禍は南半球でも広がりを見せるなど収束が見通せない。選手や観客らの安全を確保する上で、従来の大会規模や運営方法で「完全」に固執するのは、むしろマイナスになる。

 大会組織委員会や東京都など関係する組織は「完全な形」へのこだわりを捨てて、開催への方策を模索してもらいたい。

 組織委と国際オリンピック委員会(IOC)は、260項目の見直しに着手した。開閉会式の演出の簡素化や参列者の絞り込み、聖火リレーの日程短縮、会場内外の装飾の簡素化などが案として挙がっている。

 大会会場での観戦者の絞り込みも必要になろう。チケットの払い戻しなど課題も多く、丁寧な説明と対応が欠かせない。組織委などは「アスリートファースト(選手第一)」や「安全、安心」の原則を守りつつ、開催への阻害要因を取り除いてほしい。

 組織委の遠藤利明副会長は開催可否の判断を来春まで延ばし、事態の推移を見守るべきだと発言した。その見解を支持する。ワクチンや治療薬の開発など感染防止策の進展を見極めつつ、開催の可能性をぎりぎりまで探るのはホスト国として当然の姿勢だ。

 ただ、際限ない五輪の巨大化には、どこかで歯止めをかけなければならない。

 東京大会が目指す簡素化は、あるべき五輪の将来像を提示することにつながる。東京大会では史上最多の33競技339種目が実施される予定だが、「スポーツの見本市」と化した現状を問う議論も必要となる。

 簡素や質素は本来、日本の得意技である。危機下での成功は東京ならではだったと、世界をうならせる大会となってほしい。

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June 09, 2020 at 03:00AM
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